今さら触れた「無料版のClaude」に感心。こんなに使えていいの?
無料版なのに使い勝手がやたらいい。
最近、メインで使うAIをChatGPTから変えたいなーと思っていて、モデル性能が今いちばんよさそうな「Claude」(クロード)を検討しています。
これまでも触ってはいたのですが、サブだったのでちゃんと把握していない部分も多く、無料版で改めていろいろ確認していたのですが…ぶっ刺さってしまいました。とにかく扱いやすいのです。
AIモデルが優秀なのはもちろんのこと、必要な機能がちゃんと見やすい位置にあるなど、アプリとしての機能設計も優れています。人気なのも納得です。
デザインがいい。どこかトラッドで落ち着いた雰囲気
iOS版Claudeアプリの画面。(左)トップページ。アクセントとしてオレンジのシンボルが入れられているのが印象的。(右)チャット画面。Image: かみやまたくみまず、ぱっと見の雰囲気がChatGPT・Geminiとは異なります。
全体としてくすんだ色合いで統一されていて、目に優しい感じ。明朝系のフォントが使われているMacOS版アプリは、クラシックな印象も少しあります(ライバルたちはゴシック系のフォントを採用し、モダンな感じのデザインできています)。
広告はなしですが、有料版Claudeへの誘導が入ることがあります。利用制限にかかったり、関連する機能(CoworkとCode)にアクセスしようとすると表示されます。
回答の生成中にはオレンジのシンボルが動きます。アクセントも穏やかで品がありますImage: かみやまたくみ「AIの挙動」を細かく調整しやすい
いちばん差を感じたのは、「Project」の管理画面です。Projectは1つの大きな目標を達成するための機能で、その中で目標に紐付いた会話や作業をさまざま行えます。「フォルダ」と「ダッシュボード」を兼ねたような専用UIを備えているのですが、これが非常に強力です。
「Project」のトップページ。右側の「手順」でInstructionを設定できる。作成・アップロードしたファイルを登録することもでき、新しいチャットにすぐ選んでコンテキストとして追加できるImage: かみやまたくみ特に良かったのが、簡単に「Instruction」を設定できること。InstructionはAIの文体や性格を変えたり、目標を伝えるためのプロンプトです。当該Projectのすべての回答・作業精度を引き上げられるため、Projectごとに設定すべきです。
たとえば、AIに作ってもらいたいのが「簡単でおいしいケーキの作り方まとめ」と「西洋哲学史の講義まとめ」では意識して欲しいことは異なるでしょう。ケーキの作り方を調べてもらうなら、実際に作れるようなレシピは書いて欲しいですよね。でも、西洋哲学史まとめで重視して欲しいのは「テストに出る哲学者は誰で何を覚えればいいか?」になるはずです。最適なInstructionも異なってきます。
ChatGPTやGeminiにも同種の機能はあり、Insturctionも設定できるのですが、設定画面がメニュー内にあります。ProjectトップからアクセスできるClaudeのほうが明らかに使いやすいです。
「必要なファイル」を使い回しやすい
Projectに登録したファイルを選択して新しいチャットを始めると、それらのファイルをClaudeのコンテキスト(前提知識)に入れられます。簡単に入れられるので、コンテキストをクリーンに保ちやすく、モデルのパフォーマンスを引き出しやすくなるという設計ですImage: かみやまたくみProjectには参考資料や生成したファイルを登録でき、しかもそれらはワンクリックで新しい会話に追加できます。決めたことをまとめておけば、すぐに渡して「まだ決まっていないこと」を洗い出してもらったり、「これからやるべきこと」を考えてもらったりできます。
ユーザーとAI間で会話をしながら、中間ファイルを作り、それを使って次の成果物を作り…を繰り返しながら、段階的に、着実にゴールを目指せるような設計だと言えます。こちらも地味ながら秀逸です。
無課金で使えるAIが高性能で扱いやすい
無課金のClaudeでは今、Sonnet 5とHaiku 4.5というAIモデルが利用できます。このうちのSonnet 5は最近出たばかりのモデルで、高性能モデル群(Claude Opus 4.8やOpenAI GPT-5.5)に迫るベンチマーク結果を出しています。
Sonnet 5はベンチマーク結果は、上位モデルのOpus 4.8に近い。そのOpus 4.8はgpt-5.5を上回るベンチマーク結果を出していますImage: Anthropic最高性能のモデルではないのですが、実用性は十分以上です。概念的な話もできますし、コードはもちろんお手の物。プロジェクトのひな形(つまりは複数のファイル)をまるっと生成したりも可能です。
モデル設定から「工数」を設定できる。通常より複雑なタスクを一貫して、正確に処理してもらいたい際などに引き上げる。スポットでパフォーマンスを向上させれる便利設定、という感じです。工数を上げると利用上限には引っかかりやすくなりますImage: かみやまたくみ「工数」が設定できるのも便利です。これを引き上げると長いタスクも質を保ったまま一気に処理してくれるようになる、といったもの。普段はデフォルトで十分で、必要時だけパフォーマンスを引き上げられる感じです。
主観的な話になってしまいますが、Sonnet 5についてはその「性格」も魅力だと思います。極端な方向に振れにくく、バランスのいい判断をする印象を受けました。
OpenAIのAIは「厳密な思考が得意だけど、頑固なところがある」、GoogleのAIは「話の要点を的確に拾ってくれるけど、そうじゃないものの切り捨て方が大胆すぎる」みたいな印象なのですが、Sonnet 5はちょうどその中間。厳密さではOpenAIが、的確さではGoogleが勝るものの、AnthropicのAIは柔軟な感じ。どっちの方向にも行ける、って感じです。
今回いちばん魅力を感じたのはここかもしれないですね。ハンドリング次第でさまざまな運用ができるし、そのハンドリング自体もしやすいようにClaudeが設計されています。
生成できる「画像」に限界がある
Claudeがワークアウトのデータをアプリから取得し、グラフとして表示しているところ。こういうビジュル化は得意Image: かみやまたくみ弱点にも触れていきましょう。
決定的なのは、ClaudeではChatGPTやGeminiのように「イラスト」は作れない、という点です。グラフなどの抽象的な「図」は生成できますが、それは他社も同様です。
「絵」を直接生成したい場合は、他を使うことになるでしょう。
「利用上限」があります
macOS版Claudeで有料プランへの誘導が表示されたところImage: かみやまたくみ無課金AIの宿命で、利用には上限があります。
まず、利用回数に上限があります。試しにやってみたところ、Sonnet 5を工数:中で15回ほど使った後に、複雑な処理を工数:特大で行ったところで上限に到達。課金版への誘導が表示されました(作業は中断)。
Haiku 4.5を意識して使えば、使える回数は増やせるとは思います。
強力なProjectも、作成できる数が5つまでに制限されています。
といっても、無課金の範囲でもかなりの作業をこなせたのも事実で、人によっては十分に無課金で堪能できるでしょう。
Claudeの魅力的は、「設計が非常に合理的」なことにあると思いました。今は「適切なコンテキストを入力すること」がAIから望ましい回答を得る上で重視されていますが、それが当たり前にできるように作られています。
穏やかで見やすいデザインも、文字ばかりで脳が疲労するAIアプリとは相性がいいように思います。
使えるモデルの性能も良いため、無料版でもかなり戦えます。
ChatGPTやGeminiの「別解」として、存在感を示し続ける理由がよくわかった気がしました。