観光活性化の目玉「仁徳天皇陵の観光気球」、5年半遅れで運行開始へ…ガス漏れなどで延期続く

 世界文化遺産「 百舌鳥(もず) ・古市古墳群」の 大山(だいせん) 古墳(仁徳天皇陵古墳、堺市堺区)を気球から眺める事業について、堺市と運行事業者の「アドバンス」(兵庫県豊岡市)は1日、大阪・関西万博開催中の10月上旬に運行を始められる見通しがついたと発表した。ガス漏れなどで延期が続き、当初計画から5年半遅れており、成否に注目が集まる。

百舌鳥古墳群を代表する仁徳天皇陵古墳(2020年8月、堺市で、読売ヘリから)

 気球事業は2019年の世界遺産登録を機に、市が観光活性化の目玉として計画。20年春の運行開始を目指し、約2700万円を投じて大山古墳に隣接する大仙公園に発着場を整備した。しかし、コロナ禍で住民説明会などの延期が続き、さらに23年5月の開業予定の直前に気球のガス漏れが発生した。

堺市の気球事業のイメージ図(運行事業者「アドバンス」提供)

 そのためアドバンスは、気球設備を一新。パリ五輪の聖火台に使われた安全性の高いフランスの製造会社のものを新たに採用した。

 ゴンドラは最大30人乗りで、高度約100メートルから大山古墳を眺める。飛行時間は1回15分程度で、年間6万人の利用を見込む。料金や営業時間などは検討中だが、大人1人4000円前後を想定し、訪日外国人観光客は日本人より高い料金にする「二重価格」も検討する。

 市の担当者は「事業を安全に進めるべく全面的にバックアップする。堺の観光の起爆剤として、波及効果も期待したい」としている。

関連記事: