レーザー砲、レールガン、無人戦闘艇…これが未来の自衛隊の装備だ! 防衛装備展示会「DSEIジャパン」開催
防衛装備庁の展示でひときわ目を引いたのが、「車両搭載高出力レーザ実証装置」の展示だ。この車両は小型ドローンなどを迎撃する目的で開発されたもので、重装輪回収車をベースに、10kw級のレーザー砲を搭載したもの。車両そのものは昨年11月に公開されているが、今回は内部のコントロール・ルームが来場者に開放された。
防衛装備庁の展示エリア。目の前の大型車両が「車両搭載高出力レーザ実証装置」だ。重装輪回収車の荷台部分に、レーザー装置や電源、冷却装置、そしてコントロール・ルームを積載する。下の写真は旋回式のレーザー砲塔(写真/筆者)コントロール・ルーム内には3つのモニターがあり、レーダーと目標追尾・捕捉用赤外線カメラの映像が表示されていた(なお、レーダーは車載ではなく車外に設置される)。砲塔の操作や照準はキーボードで行なわれるようで、キーボード上にテプラで各キーの用途が記されていた。機敏な操作は難しいと思うが、本車はあくまで実証試験用であり、実用車両ではないということだろう。
コントロール・ルームの内部。3つの画面のうち、左がレーダー画面、右の2枚が赤外線カメラ映像。このうち下側が照準用と思われる。本車両はあくまで車載の実証試験用であり、今後、装備化に向けて実用的なシステムへと発展していく(写真/筆者) 右席のキーボードには操作法を記したテプラが貼られていた。また、キーボード右横の赤いボタンが照射スイッチだ(写真/筆者)電力により超音速で弾丸を投射する「レールガン(電磁砲)」の大型模型も目を引いた。護衛艦への搭載を想定した砲塔型であり、ステルス性が考慮された鋭角のシルエットが未来的だ。ただ、あくまで現時点の“イメージ”であり、実際にこのような砲塔になるというわけではないらしい。レールガンは、あわせて内部構造の模型も展示された。
レールガン砲塔の模型は、おおよそ1/2スケールとのことだ。また内部構造の模型では、砲塔の下に弾庫と揚弾装置が確認できる(写真/筆者)「戦闘支援型多目的USV(無人航走体)」は、新たなデザインのCGと模型が展示された。これまで船体を海面下に隠す能力を持った半潜航型のデザインが公開されてきたが、今回公開されたものは完全な水上型となった。半潜航型は開発中止となったか? 質問したところ、半潜航型・水上型どちらも進めているとの回答だった。USVに求められる様々な機能を並行して研究するためだという。
水上型の「戦闘支援型多目的USV」の模型(上)。これまでは半潜水式のCG(下)が公開されていた(上写真/筆者、下CG/防衛装備庁)水上型は自律航行能力やミッション・モジュールの研究を、半潜航型は潜航能力の研究を行うという。ミッション・モジュールとは、異なる機能を持った交換可能な構成部品であり、今回公開された模型ではSSM(対艦・対地ミサイル)ランチャー、魚雷発射管、UAV発射装置などを搭載したコンテナを搭載していた。
水上型の模型。甲板上にコンテナ式のミッション・モジュールを搭載している。SSMランチャー、魚雷発射管、垂直式のUAV発射装置が確認できる。また、船底に潜水艦探知用のソナーを搭載することも可能だという(写真/筆者)今回展示された装備は、いずれも研究中のものであり、実用化にはまだ時間が必要だが、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなかで、日本の防衛力を高めるために、どれも重要なものばかりだ。今後とも研究の進展に期待したい。