子どもの高血圧、20年で倍増「仮面高血圧」も 早期発見にハードル

コラム・寄稿

日本高血圧学会 藤原健史・自治医科大学講師 構成・鈴木彩子

子どもの高血圧、増えてる?

 みなさん、血圧をはかっていますか? 今回は、大人ではなく「子どもの高血圧」がテーマです。近年、世界的に増加傾向にあるといいます。自治医科大学循環器内科講師の藤原健史さんに語ってもらいます。

    ◇

 子どもの高血圧が、過去20年で2倍に増えている――。

 今年1月、こんな研究論文が国際的な医学誌に掲載されました。中国などの研究チームが、世界の96本の研究論文をもとに分析した研究です。19歳以下の子どもの高血圧の有病率が、2000年は男子が3.40%、女子が3.02%だったところ、2020年は男子が6.53%、女子が5.82%に増えていた、という内容でした(※)。

 さらに、医療機関ではかると低いのに医療機関以外ではかると高い「仮面高血圧」の子どもも、1割ほどいることが分かったといいます。

 これには私も驚きました。

肥満の増加、生活習慣の変化も影響?

 子どもの高血圧が注目されるようになったのは、比較的最近です。背景として大きいのは、やはり生活習慣の影響でしょう。

 経済的に豊かになるにつれて、大人が好むような塩分やカロリーの多い食べ物を、子どもが食べる機会が増えました。子どもの肥満も増えています。

 肥満は、冒頭の研究でも、影響の深刻さが指摘されています。肥満の子どもでは、およそ2割が高血圧を患っていて、有病率は標準体重の子どもの約8倍という結果だったといいます。

 このほか、テレビやゲームなどのスクリーンタイムが増えて、外で体を動かして遊ぶ機会が減ったり、夜中まで起きているために体内時計(サーカディアンリズム)が崩れてしまったり、ということも、子どもの高血圧のリスクになると言われています。

子どもの高血圧→大人になってからのリスクに

 子どものころに高血圧だと、将来、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などになるリスクが倍増すると言われています。特に、肥満や腎臓病糖尿病をすでに患っているお子さんや、親や祖父母など家族に高血圧の人がいるというお子さんは、要注意です。できれば早くから気をつけて、早期に対応することが、将来のためにも大切です。

子どもの高血圧、増えている?

 ところで、お子さんがいる読者のみなさんは、子どもの血圧をはかってもらった経験があるでしょうか。

 乳幼児健診や学校の健康診断、予防接種や日々の通院……。医療機関との接点は少なくないのですが、困ったことに、「子どもの血圧をはかる」という機会は、まだまだ少ないのが現状です。

 子どもの血圧は、子どもの身体の大きさに合った腕帯を使ってはかります。残念ながら、大人の家庭用血圧計では正確にはかることができません。

 はかる機会も機器もそもそも少ない上に、仮面高血圧も多いとなると、リスクのある子どもを早くに見つけることには、まだ高いハードルがあることを痛感します。

 子どもの高血圧が増加傾向にある昨今。願わくは、子ども用の血圧計を地域ぐるみで準備して、学校健診などの機会にはかってみるなど、子どもの血圧測定がもう少し普及してほしいと感じています。

 子どもの高血圧の基準値は、大人とは少し違い、年齢別に決まっています。こちらも参考になさって下さい。

(参考文献)

※Zhou J, Shan S, Wu J et al.

Global prevalence of hypertension among children and adolescents aged 19 years or younger: an updated systematic review and meta-analysis.

Lancet Child Adolesc Health. 2025;10:11-21.

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この記事を書いた人

鈴木彩子
くらし科学医療部次長
専門・関心分野
医療・健康、脳とこころ、アレルギー

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