英国でプルトニウムは「資源からゴミに」日本はどうする?

 原発から出る使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出す。これを「ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料」に加工して原発で再利用する、というのが日本が国策とする「核燃料サイクル」だ。

 この政策のもと、日本では使用済み核燃料もプルトニウムも、経済的価値のある「資源」と位置づけられてきた。

 だが、実のところ、これはもはや「世界の常識」ではない。

 英国は2025年1月、再処理で取り出した民生用のプルトニウムを「固定化」して地中に処分することを決めた。

 かつて「資源」と考えていたプルトニウムを、「ゴミ」とみなして処分する方針をはっきり打ち出したことになる。

 他国の再処理も請け負ってきた英国には日本のプルトニウム約21.7トンも保管されている。

 日本はいったいどうするつもりだろうか。

英国は将来世代の負担避ける

 英国は核燃料サイクルに早い段階から取り組んだ国だ。再処理で取り出したプルトニウムを特殊な原子炉である「高速増殖炉」で燃やすと、使った以上のプルトニウムができる。これを繰り返し再利用することで「夢のサイクル」を実現しようとしていた。

 しかし、高速増殖炉実用化のめどは立たず、1990年代に開発を断念した。94年に建設した民生用の再処理工場は稼働を続けていたが、こちらも18年に閉鎖している。

 この間に民生用プルトニウムが約140トンもたまった。このうち自国所有分は約120トンで、使い道がないまま保管されている。問題はこれをどうするか。

 英国政府は11年、MOX燃料にして再利用することを基本としつつ、ほかの代替案も排除しないという方針を示していた。

 その後、10年以上かけて「技術、運搬可能性、経済性」などを検討した結果、今回、以前の基本方針を覆し、「イモービライズ(immobilise、固定化)」することを決断した。

 イモービライズとは、プルトニウムをセラミックなどに封じ込め、外からアクセスできず、安定した状態にすることだ。

 プルトニウムの長期保管は将来世代に安全保障上のリスクと核拡散への負担を残すので、それを避けるための決定だという。

日本も「着実な削減」掲げるが

 これは英国自身が所有するプルトニウムについての政策判断だが、ここで考えねばならないのは日本所有のプルトニウムだ。

 英国同様、高速増殖炉による核燃料サイクルを夢見た日本は…

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