トランプ大統領が戦闘艦の海外建造を条件付きで容認、最有力候補は韓国設計

トランプ大統領は13日に署名した国家安全保障大統領覚書の中で「対潜・水上戦や護衛任務が行える水上戦闘艦の海外建造」を条件付きで容認したが、非常に厳しい条件をクリアする必要があるため、現実的な最有力候補は韓国設計の水上艦艇になるだろう。

参考:Fact Sheet: President Donald J. Trump Rebuilds the U.S. Navy and America’s Shipbuilding Industrial Base 参考:REBUILDING THE UNITED STATES NAVY AND AMERICA’S SHIPBUILDING INDUSTRIAL BASE

国防総省は2027会計年度(FY2027)予算案に18.5億ドルの資金を計上し、この資金の使用用途として「外国設計によるフリゲート艦と駆逐艦・巡洋艦の採用や同盟国の造船所における建造・部品製造を含む大規模研究」と説明し、USNI Newsは「国防総省が海軍に日本と韓国の造船所・設計の活用を検討するよう指示した」と言及したため、一部の人々の間で「米海軍が日韓に艦艇を発注するのではないか」と噂されたが、この話は「日本で米海軍の戦闘艦艇を建造してあげる」「日本国内の造船産業や雇用に恩恵がもたらされる」というものではない。

出典:Department of War Fiscal Year (FY) 2027 Budget Estimates Navy

18.5億ドルの大規模研究を強く働きかけたのは予算編成を行う米行政管理予算局(OMB)で、外国設計によるフリゲート艦と駆逐艦・巡洋艦の採用、同盟国の造船所における建造・部品製造ができるかどうかを調査するだけでなく「日本または韓国で建造される最初の艦艇の資金提供を開始するためにも使用されるかもしれない」と明かしたが、このOMB主導の取り組みは米海軍艦艇の国外建造(上部構造の主要部品製造も含む)を禁止するバーンズ・トレフソン修正条項をどうするか解決策を提示しておらず、議会や産業界とも事前調整を行っていないため猛烈な反発を買っている。

米造船所業界団体は「我々がすでに知っていることを確認するため数百万ドルの税金を費やす必要はない」「米国には十分な工業力、熟練労働力、技術的専門性があり、世界最高水準の海軍艦艇を時間通りに予算内で建造・維持できる」「一貫した投資と明確な方針があれば、国内造船産業は需要増大に十分対応し、国家安全保障を損なうことなく海軍の長期任務を支えられる」と声明を表明し、この声明の真意は「世界最高水準の海軍艦艇を時間通りに予算内で建造・維持できる」という話ではなく「どんな素晴らしいアイデアでも国内雇用という利害を無視すれば実現しない」という政治的メッセージだ。

出典:Representative Jared Golden

下院バージョンのFY2027国防権限法案(予算の具体的な使い道や各計画の上限額などを決める『議会が国防政策の方向性を毎年確認して政策を盛り込むための法案』で、実際に国防支出で動く資金額は歳出法で決まるものの、この国防権限法が成立しないと歳出法も成立しない)には「海外の造船所で建造される艦艇調達契約を締結するのにFY2027の予算を一切使用してはならない」という修正案が、上院バージョンにも「バーンズ・トレフソン修正条項をバイパスする大統領権限の大幅制限」が盛り込まれている。

分かりやすく言うと「下院は戦闘艦艇の海外建造にFY2027の資金を使用するのは禁止だが、補助艦艇についてその限りではない」「上院は補助艦艇のバルク燃料輸送船と戦略輸送船を最大2隻ずつ建造することについては条件付きで認める」で、下院は補助艦艇の海外建造について特に条件や制限を設けていないものの、上院は「国家安全保障上の利益があることを証明すること」「米国で建造するより早く納入でき即応性に明確なメリットがあること」「重要な指揮統制システムおよび通信システムなどは米国または安全な同盟国施設で搭載すること」「補助艦艇を受注した海外の造船所は米国の造船産業基盤に直接投資を行うこと」が条件だ。

出典:The White House

トランプ大統領は13日に米海軍と米造船産業基盤を再建するための国家安全保障大統領覚書(大統領令とほぼ同等の法的効力をもつ公式な行政文書)に署名し、この中で「本覚書は国防総省に対し、沿岸警備隊の中型砕氷船計画で初めて採用された成功事例=フィンランドモデルに基づき、米造船産業基盤への直接投資をさらに推進することを指示するものだ」「海外の造船会社が米造船所に大規模かつ持続的な投資を行い、米国人労働者を雇用して育成するなら、一時的に最大2隻の海外建造を許可し、3隻目以降の船舶は活性化された米造船所で建造される」と明記した。

カナダ企業のデイヴィーは米法人の子会社=デイヴィー・ディフェンスを通じて中型砕氷船5隻の建造を受注し、同社が所有するフィンランドのヘルシンキ造船所で最初の2隻を建造、その間に買収した米ガルフ・カッパー造船所で中型砕氷船を建造できるように準備を整え、残りの中型砕氷船を雇用した米国人労働者によって建造する予定で、これが大統領覚書の中で成功事例と言及したフィンランドモデルの正体だ。

出典:The White House

大統領覚書はフィンランドモデルを対潜・水上戦や護衛任務が行える水上戦闘艦、Ro-Ro型貨物船、洋上補給用の貨物・給油タンカーの調達にも拡大することを指示し、その条件として「最初の2隻以外は新規に建設した米国内の造船所、所有権もしくは過半数の株式を取得した既存の米造船所で建造すること」「最初の2隻以外を建造するため米国人を雇用して訓練すること」「最初の2隻を建造した親会社の造船技術やテクノロジーのライセンスを米造船所に与えること」「最初の2隻以外を米国で建造する場合は必要な全てを米国のサプライチェーンから調達すること」を挙げ、この条件を満たすならバーンズ・トレフソン修正条項が免除される。

つまり大統領覚書は下院や上院よりも海軍艦艇の海外建造について寛大だが、見方を変えれば補助艦艇の海外建造を条件付きで認めた「上院の考え方」を対潜・水上戦や護衛任務が行える水上戦闘艦まで拡大しただけで、本質的には「米国の軍事費は米国の雇用を支えるべきで、海外の造船所は米造船所業界に投資して造船所を整備し、サプライチェーンを構築し、米国人を雇用して船を建造しろ」となり、韓国のハンファ・フィリー造船所による米海軍のミサイル観測艦=ゴールデン・ディフェンダーの受注が米国にとっての理想なのだろう。

出典:Hanwha

もし大統領覚書の指示が忠実に実行されるとフィンランドモデルの最有力候補は韓国設計の水上艦艇で、米海軍に採用された実績は輸出市場で有利に働くだろう。そして日本の造船所は今のところ米国に拠点をもっていないためフィンランドモデルの対象外だ。

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※アイキャッチ画像の出典:HD현대중공업

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