米国債市場、弱気姿勢強まる-ショートは2月半ば以来の高水準

Edward Bolingbroke

  • 売りは一段と進み利回りが高い状態続く-JPモルガン調査
  • 米30年債利回りはなお5%付近で推移、投資家心理の不安定さ示す

債券トレーダーは、米超長期国債利回りが心理的節目の5%付近で推移する中で弱気姿勢を強めている。  

  JPモルガン・チェースが28日公表したトレーダー調査によると、米国債市場で売りは一段と進み利回りが高い状態が続くと見込まれている。中央銀行や政府系ファンド(SWF)、実需・投機筋を含む全顧客カテゴリーのショート(売り持ち)ポジションは、2月半ば以来の高水準となった。

  弱気ムードの背景には、各国で期間が長い債券の下落が続いたことがある。政府の財政赤字拡大への懸念が市場で強まった。

  米30年債利回りは4.97%付近で推移している。先週は5.15%と、23年10月以来の水準まで上昇する場面もあった。米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを最上位から引き下げたほか、日本の超長期国債の急落、トランプ米大統領が推進する税制・歳出法案の下院可決などが材料となった。

  27日には世界的に債券相場が上昇し安堵(あんど)感が出たが、米30年債利回りがなお5%付近で推移している状況は、投資家心理の不安定さを示す。

  ロード・アベットのポートフォリオマネジャー、リア・トラウブ氏は「これは、世界的なイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化だ」と指摘。「長期債の需要が減少している一方、供給は増加しているというシナリオに多くの微妙なニュアンスが存在する」と説明した。

  5月27日までの1週間で、投資家のショートポジションは2ポイント増加し、2月10日以来の高水準となった。ネットロング(買い持ち)ポジションは、2月3日以来の低水準。

原題:Bond Traders See Treasuries Selloff Going Even Further(抜粋)

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