エヌビディア、インテルに50億ドル出資へ-半導体を共同開発
半導体大手の米エヌビディアは18日、インテルに50億ドル(約7400億円)を出資し、パソコン(PC)やデータセンター向けの半導体を共同開発すると発表した。長年のライバルを支援する予想外の動きだ。インテル株は急伸した。
両社の発表によると、エヌビディアはインテル普通株を1株23.28ドルで取得する。インテルは今後のPC向けチップにエヌビディアのグラフィックス技術を採用するほか、エヌビディアのハードウエアを中心とするデータセンター製品向けにプロセッサーを提供する。
インテルは損失を食い止め競合に追い付こうとしており、今回の発表は同社にとって追い風になるとの見方が投資家の間で広がった。
18日のニューヨーク市場でインテル株は23%高の30.57ドルで取引を終え、1987年10月以来の大幅高となった。エヌビディア株は3.5%高となり、年初来では31%上昇している。
両社は協力の上で最初に生産される製品の販売時期については明らかにせず、今回の発表はそれぞれの将来の計画に影響しないと説明した。
米政府は8月、インテルの株式約10%を取得した。その後、米国の半導体チップ製造とクラウドインフラに数百億ドルの投資を約束しているソフトバンクグループが、20億ドルの投資を決定した。インテルも、投資家に資産を売却して資金を調達している。市場シェアの低下に苦しむ現状では、インテルは最先端半導体の開発に伴う多額の支出の負担を背負うことができない。
勢力図
共にカリフォルニア州サンタクララに拠点を置くインテルとエヌビディアの提携は、コンピューター業界における勢力図の変化を如実に物語っている。インテルは、かつては業界の隅に追いやっていたエヌビディアから、資金面の支援と市場をリードする技術へのアクセスを得ることになった。
インテルは汎用(はんよう)プロセッサーにエヌビディアの高性能グラフィックス部品を組み合わせたPC向け半導体を提供し、デスクトップやノートPCの市場でシェアを奪ってきたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)との競争力を高めることを目指す。AMD株は一時5.9%下落した。
AMDは、グラフィックス半導体の分野におけるエヌビディアの最大の競合相手でもある。人工知能(AI)分野のリーダーであるエヌビディアは、自社の半導体の製造をインテルに委託するかどうか検討を続けているが、現時点ではそうした計画はない。
政府の保有株
18日のインテル株上昇に伴い、米政府保有株の価値は約130億ドルに膨らんだ。8月の株式取得での合意以降、帳簿上で44億ドル増加したことになる。合意に基づくと、米政府はインテルの普通株4億3330万株を1株当たり20.47ドルで取得するとしている。
インテルは8月の届け出で、既に2億7460万株を商務省に発行済みだと説明。残りの1億5870万株についてはエスクロー口座に発行しており、国内半導体業界支援法(CHIPS法)に基づく政府からの資金拠出に応じて段階的に引き渡される予定だとしている。
シーポート・セキュリティーズのトレーダー、テッド・ワイスバーグ氏は、今回のエヌビディアによるインテルへの出資について、「ウォール街には、死んだように見えた企業が不死鳥のようによみがえったという話が数多く存在する」と指摘。「この出資の意味合いを判断するには時期尚早だが、新鮮な風を感じさせる出来事だ」と述べた。
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