ウクライナFP社、今月1日に弾道ミサイルをロシア領へ初発射したと明かす
ゼレンスキー大統領は10月1日「ウクライナ製の戦術弾道ミサイルFP-7が初めて実戦投入された」と発表し、メディアの取材に大統領顧問は「初実戦でFP-7がどこに命中したのか何も明かさない」と回答していたが、ファイアポイントのテレフ氏は2日「昨日、我々は初めてロシア領に向けて弾道ミサイルを発射した」と明かした。
参考:Missiles, satellites and warplanes — Ukraine, Europe advance key arms projects
ゼレンスキー大統領は10月1日「ウクライナ製の戦術弾道ミサイルFP-7が初めて実戦投入された」「次は量産だ」と発表し、Kyiv Independentは「初実戦でFP-7がどこに命中したのかと大統領顧問に質問したが『何も明かさない』と回答した」と報じていたが、FIRE POINT=ファイアポイントのイリーナ・テレフ氏は2日「昨日、我々は初めてロシア領に向けて弾道ミサイルを発射した」と明かした。
Ukrainian tactical ballistic missile. FP-7. First combat use. Thank you for the result. Next up: production. Glory to Ukraine! https://t.co/IxdjVg51c1
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) October 1, 2026
ヘルシンキ安全保障フォーラムのパネルディスカッションに登場したテレフ氏は「昨日、我々は初めてロシア領に向けて弾道ミサイルを発射した。これは最大射程300km(ファイアポイントのWEBサイトに掲載されたFP-7の射程は最大250km)の戦術弾道ミサイルだ。より射程の長いバージョンも開発中で今年中に公開予定だ」と述べ、同クラスの戦術弾道ミサイルと比較して数分の1で製造できると付け加えている。
ファイアポイントの共同創設者兼チーフデザイナーを務めるデニス・シュティレルマン氏は2026年3月「FP-7の調達コストはATACMS(MLRSやHIMARSで使用する米国製の戦術弾道ミサイル)の約半分だ」と言及したことがあり、ATACMSの調達コストは推定100万ドル~150万ドルなのでFP-7は50万ドル~75万ドルになる。
さらにシュティレルマン氏はFP-7がATACMSの約半分の価格で調達できる理由について「兵器の価格が高価になる大半の理由は官僚的手続きのせいだ」「これはファイアポイントだけではなく世界の防衛企業に共通する負担だ」「ボーイング747は構想から最初の商業飛行まで6年、エアバスA380の場合は25年もかかった」「これは全て官僚的手続きのせいで誰にも必要とされていない書類を作るため無数のエンジニア、弁護士、マネージャーが必要になる」「さらに手続きに必要なテストにも何年もかかり、この全てのコストが最終価格に加算されるのだ」と指摘した。
テレフ氏はヘルシンキ安全保障フォーラムで「FP-7は開発開始からたった2年で完成した」と述べ、この点についてもシュティレルマン氏はウクライナ当局が承認手続きを大幅に簡略化したことを挙げている。
出典:Fire Point FP-5
ウクライナ当局は2022年9月「兵器の実用化や導入にかかる承認手続きを2年から数週間~数ヶ月に短縮する」と、2023年3月「ドローン製造企業は数ヶ月間かかる書類審査を免除する」と、2023年10月「国防省は開発された製品テストを完了後『最大10日間』で承認する」と発表し、シュティレルマン氏は「政府が長距離攻撃兵器に『官僚的手続きが極限まで簡略化されたドローン審査の枠組み』を適用したのは正しい判断だった。我々の製品は全てドローンとして登録している。FP-5もFP-7も書類上は全てドローン扱いだ。もし軍の官僚主義が作り出した規則に従っていたら、我々は未だにFP-1のテストを行っているだろう」と指摘。
つまりFP-7が2年で完成し、開発コスト(主に官僚的手続きに必要な書類作りやそのためのテスト)を圧倒的に圧縮できたのは「官僚的手続きが極限まで簡略化されたドローン審査」で戦術弾道ミサイルを開発したためで、一概には言えないもののFP-7とATACMSの価格を乱暴に比較すると「兵器価格の約半分は官僚的手続きにかかる経費」となるのが興味深い。
出典:Fire Point FP-1
ちなみにファイアポイントの関係者は「FP-7の実用化はキルスイッチが存在しない、独自の独立した弾道ミサイルを運用するVIPリーグにウクライナが加わったことを意味する」「我々はもはや自衛の行動に誰かの許可を得る必要がない」と述べ、この制限のない弾道ミサイルによる攻撃能力がウクライナにとって極めて重要だと強調した。
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※アイキャッチ画像の出典:Fire Point