ライバル店で子供が「マクドナルドください」…藤田田が日本での店名を「マクダーナルズ」にしなかった天才的直感
マクドナルドは日本とアメリカで発音が異なる。日本マクドナルド創業者の藤田田さんは「『マクダーナルズ』では日本人の耳に馴染みにくい。本国の反対を押し切って『マクドナルド』にしたことが日本で成功した秘訣だ」という――。
※本稿は、藤田田『起業家のモノサシ』(KKベストセラーズ)の一部を再編集したものです。
写真=共同通信社
昭和46年に開店した「マクドナルド日本1号店」をPRする女性スタッフ
なぜ「マクダーナルズ」ではダメなのか
マクドナルドで私が成功したひとつの理由は、店名を「マクドナルド」としたからである。
マクドナルドを英語読みにすると「マクダーナルズ』になる。はじめ、アメリカの連中は「マクダーナルズ』という共通の呼び名で世界にチェーンを広げているのだから、日本でもそれでいきたい、といった。
「日本語というのは、3音か5音か7音で成立している。3音か5音か7音で音が切れない“マクダーナルズ”では、日本人には受けない。日本で事業をしたいのなら、3音で切れる“マクドナルド”にすべきだ」そう主張した。
「マクドナルド』といえば、6音で長いが、3音ずつ切れる「マクド/ナルド」がいい、といったのだ。日本人はこうした場合、けっして「マクドナルド」とは切らない。「マクド」と「ナルド」を切りはなして発音する。
そのほうが、日本語のフィーリングに近く、親しみやすいからだ。もちろん、日本語のわからないアメリカ人たちは、「マクドナルド」に難色を示した。しかし、私も「マクドナルド」をゆずらなかった。今では、押し切ってよかった、と思っている。
単なる「ハンバーガー」ではダメだ
それと、ネーミングではもうひとつ、成功している。「マクドナルド・ハンバーガー」と、常に「マクドナルド」に「ハンバーガー」をくっつけたことだ。
「マクドナルド」だけでも「ハンバーガー」だけでもなく、最初から「マクドナルド・ハンバーガー」と二つをひとつの商品名にして、売って売って売りまくったのだ。表音文字の漢字民族の日本人には、これは効果があった。
たとえば「村」という漢字は「木」と「寸」でできている。単独で読めば、あくまでも「木」は「木」、「寸」は「寸」である。ところがこれが一緒になると、まったく別の「村」という字になり、意味もまったく違ってくる。
「マクドナルド」も「ハンバーガー」も片仮名であるが、これを一緒にして「マクドナルド・ハンバーガー」と続けることによって漢字的に作用させることを私は狙った。これも狙いどおりに成功した。
看板も広告もすべて「マクドナルド・ハンバーガー」として「ハンバーガー」を「マクドナルド」からはなさなかったのが大成功だった。つねに「マクドナルド・ハンバーガー」と続けて書いた看板を眺め、続けて読んでいるうちに、一般の人の意識の中で、両者は不可分のものになってしまったのだ。
つまり「マクドナルド」と聞いただけで「ハンバーガー」を連想するようになったのだ。
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日本にマクドナルドを開店するに当たって、私は看板の色にも気をつけた。そして、看板の色は赤、「マクドナルド・ハンバーガー」のかしら文字のMの色は黄色に決定した。信号でいえば、赤は「停まれ」で、黄色は「注意」である。
写真=iStock.com/TonyBaggett
※写真はイメージです
街頭を歩いている人は、10人が10人、マクドナルドへ来る目的を持っているわけではない。わが社の調査によれば、客の25パーセントは、マクドナルドに来る目的で家を出ている。残りの75パーセントは、マクドナルドに行こう、という目的で街に出た人ではない。
そんな人が看板を見る。看板の赤を見て、はっとして立ち止まる。そして「注意」の黄色のMのマークを見る。その横に「マクドナルド・ハンバーガー」と書いてある。そこで、「マクドナルド・ハンバーガー。食べてみるか……」かくして、店に入って、ハンバーガーを注文する。
紫色や茶色の看板は「どういうつもりだ」
この「赤」と「黄色」の作戦は、当たった。
藤田田『起業家のモノサシ』(KKベストセラーズ)
昨今は、どの店もマクドナルドを真似て、赤と白の看板を出すようになった。中には、赤と黄色というマクドナルドの配色をそっくり真似た大手の食品メーカーのチェーン店も現れた。
ときには、紫色とか茶色の看板を見かける。私は紫色や茶色の看板を見ると、ここの経営者は一体どういうつもりであんな色の看板を出すのだろう、と首をひねらざるを得ない。
あまり、人が好む色ではないからだ。そういう色の看板を見ると、私はその店の経営者が、「ウチの店には客はいらないんだ」とか、「絶対にこの店に入ってもらっては困る」といっているような気がしてならない。