32人出馬の参院選東京選挙区「7位じゃダメ」な事情 6位と7位で任期に違い

合併選挙となった参院選の東京選挙区では、7つの議席を争い全国最多の32人が出馬した=東京都新宿区(成田隼撮影)

20日に投開票が行われる参院選で、全国の選挙区の中で最多の32人が出馬した東京選挙区は、改選数6と非改選の欠員分1の補欠選挙を同時に実施する「合併選挙」となる。当選者は1人増えることになるが、補欠選挙分の「7位」だと任期に違いが出るため、一部の党は、複雑な事情が生じることから「6位以内」を合言葉にしている。

空前の大激戦

「空前の大激戦だ。どうかあなたの一票で、あと6年、皆さんとご一緒に政治を前に動かす仕事をやらせてほしい」

3選を目指す共産党の現職、吉良佳子氏は街頭演説でこう訴える。「あと6年」が言外に含むのは、同じ当選でも7位では駄目だという意味だ。

東京選挙区で6位以内で当選すると任期は通常の6年。だが、7位は補選の当選者として扱われるため、任期が3年になる。

共産は令和4年の参院選東京選挙区で当選した山添拓氏が10年に改選を迎える。吉良氏が7位で当選すると、3年後に現職2人の改選が重なってしまう。そのまま2人が立つことになると、共産支持票が分散し、共倒れとなる可能性が高く「とても2人は出せない」(共産幹部)のが本音だ。一方で、現職2人から候補者を1人に絞る作業が難航を極めるのは必至だ。

7位じゃ駄目

このため、今回の参院選で共産の都議や区議らは交流サイト(SNS)で、しきりに«6位以内で勝たなければなりません!»などと呼びかけている。

この«7位じゃ駄目»の状況をつくりだしたのは、旧民主党政権の事業仕分けでスーパーコンビューター開発を巡って「2位じゃ駄目なんでしょうか」の言葉を残した蓮舫氏だ。蓮舫氏は、4年の参院選で立憲民主党の公認で当選したが、任期途中の昨年、都知事選に立候補し自動失職した。この欠員を補うため、今回合併選挙が行われている。

«7位じゃ駄目»な事情は公明党も同じだ。党代表代行の竹谷とし子氏が3年後に改選を迎えるため、新人の川村雄大氏は6位以内の当選を狙う。ただ、公明関係者は「前任の山口那津男元代表の知名度が圧倒的だったので、(川村氏)有権者への浸透はまだまだだ。当選順位を気にする余裕は正直ない」と語る。

7位でも御の字

現職で前厚生労働相の武見敬三氏、新人で初代スポーツ庁長官の鈴木大地氏の2人を擁立した自民党も、東京選挙区選出の現職2人が3年後、改選を迎える。

自民も2人の6位以内での当選を目指すが、前哨戦となった先月の都議選で自民は獲得議席が過去最低の21議席に沈み、参院選も厳しい戦いになる可能性がある。自民内には2人目の当選について「7位でも御の字だ」(閣僚経験者)との見方が出ている。(原川貴郎)

東京選挙区には、吉良佳子(共産)、山本譲司(れいわ)、吉永藍(無所属)、土居賢真(無所属)、藤川広明(諸派)、西美友加(社民)、小坂英二(保守)、さや(参政)、峰島侑也(諸派)、武見敬三(自民)、奥村政佳(立民)、牛田茉友(国民)、酒井智浩(みんな)、福村康広(諸派)、桑島康文(諸派)、渋谷莉孔(諸派)、奥村祥大(国民)、吉田綾(諸派)、鈴木大地(自民)、塩村文夏(立民)、吉沢恵理(無所属)、市川たけしま(諸派)、川村雄大(公明)、音喜多駿(維新)、平野雨龍(無所属)、山尾志桜里(無所属)、千葉均(諸派)、増田昇(無所属)、辻健太郎(諸派)、早川幹夫(諸派)、石丸幸人(諸派)、高橋健司(無所属)の32氏が立候補している。

参院選東京、今回は7位も当選 ただし任期3年 共産陣営「6位以内じゃないと議席重複」

関連記事: