ヘモグロビン5.2で正常値の半分以下、体重は27キロ。枕から首を持ち上げられない…肺NTM症の手術を前に緊急入院した理由(上村聖)
さらに枕から自力で首を持ち上げることもできない。腕で頭を持ち、少しずつ位置をずらすしかなかった。
当然、簡単に身体を起こすこともできないので、一度横を向き、はじめにベッドから足をずりおろす。てこの原理を使うように、腕の力でようやく上半身を起こしていた。
夕方、必死で身体を起こし、仕事をして家族の食事を作る日々を続けていたが、当然こんな生活が続くわけがない。ついに限界の日が訪れた。
その日は、いつも以上に歩行時に足が上がらなかったことは記憶している。身体を引きずるようにして、いつも以上に時間をかけながら病院に到着した。
「これ以上はもう無理だ」
私は、点滴前に診察を願い出た。
血液検査の結果を見た医師は、すぐに入院が必要だと判断した。
ヘモグロビンの値は5.2。女性の正常値が12〜14.5と言われている。私の数値は半分を大きく下回っていたのだ。当時、体重は27kgにまで落ちていた。
「このまま入院して、すぐに輸血を始めたいです」
医師からそう告げられたが、私は翌日、仕事で撮影が入っていた。
「その仕事が終わってから入院することはできませんか」
そう尋ねた私に医師は、はっきりと言った。
「命の保証はないですよ」
その言葉でようやく事態の深刻さを理解した。関係者各位に連絡をとり、協力もあって私はそのまま入院することに。
まさか入院するとは思っていなかったので、その時に所持していたのは、財布とスマートフォンと家の鍵だけ。
着替えも何もない。それでも、帰宅することは許されなかった。
これが2023年12月6日のことである。