米中、レアアースでなお合意に至らず-貿易「休戦」の成果に不透明感

中国のレアアース(希土類)輸出規制の緩和を巡り、米中がなお詰めの協議を続けていることが事情に詳しい関係者の話で分かった。ホワイトハウスはこれまで貿易戦争「休戦」の合意がレアアースの輸出再開に道を開くと説明していた。

  米国向けのレアアースやその他重要鉱物の輸出に関して、中国が提供を約束した「一般輸出許可」の条件を11月末までにまとめるよう、両国はそれぞれの交渉チームに指示したと、関係者が述べた。遅延の理由については明らかにしていない。

  ホワイトハウスは、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が2週間前に合意した内容を記した文書で、一般輸出許可付与の確約を挙げていた。米国側はこれを、2023年以降に課されてきた多岐にわたる規制の「事実上の撤廃」と位置づけ、世界経済とサプライチェーンにとって大きな成果だと強調した。

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  だが、米政府が合意の一環としてすでに関税を引き下げ、国家安全保障に絡む複数の措置を停止しているのに対し、中国はこの輸出許可供与についてまだコメントを出していない。中国側は米中首脳協議のわずか数週間前に発表した追加のレアアース規制については1年間停止する方針を示すなど、休戦合意の他の部分については確認している。

  ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアヘレロ氏は「この合意はまだ成立にはほど遠い」と述べた。さらに「中国は輸出許可を交渉の切り札に、付与や撤回を通じて圧力をかけることができる」と指摘した。

  レアアース輸出業者にとっては先行きが見えない状況が続いている。新たな指針の提示を待っている状況で、現場レベルで実際の運用に変化は見られないという。

  調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの中国調査担当副ディレクター、クリストファー・ベドー氏は「一般輸出許可の手続きがどのように進むのか、誰もがまだ様子見の状態にあるようだ」と指摘。その上で「トランプ政権はこの点をかなり強調していたが、私は一般輸出許可を事実上の規制撤廃とはみていない」と述べた。

  ホワイトハウスと中国商務省は現時点でコメントの要請に応じていない。

原題:China and US Yet to Agree Rare-Earth Deal Weeks After Talks (1)(抜粋)

— 取材協力 Lucille Liu, Jing Li, Winnie Zhu and Martin Ritchie

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