12万ドルを超える過去最高値でビットコインを売却しているのは誰?(CoinDesk JAPAN)
7月中旬以降、ビットコイン(BTC)の上昇は12万ドル超で鈍化している。価格は7月14日早朝に12万4157ドルの最高値を付けたものの、その後、勢いを失い12万2000ドル付近まで下落した。 ここで疑問が浮かび上がる。誰がビットコインを現金化し、市場に売り圧力をかけているのだろうか。専門家によると、その答えはブロックチェーンデータにある。ブロックチェーンデータによると、古いウォレットが保有資産を売却しているというのだ。 「これは、最近売却を加速させている長期保有者からの集中的な売り圧力に関連している可能性がある」と、分析会社セントラ(Sentora)のシニアブロックチェーンアナリスト、ガブリエル・ハルム(Gabriel Halm)氏はCoinDeskに語った。「歴史的に、長期保有者の売却局面はビットコインのサイクルの中で明確に定義されている。しかし今回は、第2四半期の下落局面での買い増しが新たな売りに取って代わられており、市場構造が変化している可能性を示唆している」。 Bitcoin Magazineのデータによると長期保有者、つまり155日以上保有履歴のあるウォレットが管理するBTCの供給量は、4週間で30万BTC以上減少した。 10年以上活動していなかった複数の休眠ウォレットが、過去4週間で再び活動を始め、数年ぶりにオンチェーン上でコインを移動させている。これは利益確定のためと考えられる。 ブロックチェーン分析企業のグラスノード(Glassnode)は先週、長期保有者による利益確定の動きは、7月よりも緩やかなペースではあるものの、継続していると述べた。 グラスノードはXで、「長期保有者によるBTCの利益確定額(7日平均)は、7月に1日10億ドル(約1450億円、1ドル=145円換算)を継続的に上回った後、8月は鈍化した。これは記録上最大の利益確定期間の一つだった」と述べた。 モナーク・アセット・マネジメント(Monarq Asset Management)のDirectional Fundの最高投資責任者であるサム・ゲール(Sam Gaer)氏は、古いウォレットからの供給が上昇を抑制しているものの、概ね吸収されており、昨年ドイツ・ザクセン州が保有BTCを清算した際に見られたパターンと一致していると述べた。 「BTCの価格水準は、心理的水準(10万ドル、11万ドル、12万ドルなど)付近、特に最高値付近で収束する傾向にある。先月も11万ドル水準で同様のパターンが見られ、史上最高値に達した後、数回にわたり下落した」とゲール氏は述べた。 また、機関投資家による高値行使価格の売りが続いたことが、上昇のスピードに影響を与えた可能性がある。彼らは通常、現物市場の保有資産に加えて追加の利回りを得るためにそうする。ゲール氏によると、いわゆるコールオーバーライティングがボラティリティの急落を引き起こしたという。インプライド・ボラティリティ(IV)は、特定期間における価格変動の予想値であり、オプション需要によって左右される。 「長期保有者によるコールオーバーライトの動きは、衰えを知らない様子で続いており、ボラティリティの急落によってBTCの週末のボラティリティは10%台にまで落ち込んでいる。これは私の経験上、前代未聞のことだ。BTC全体のIVの再評価について、私は『40は新しい60だ』という言葉を使っている。これは市場が成熟しつつあることを示す歴史的な兆候だ」とゲール氏は述べた。