町田のキーマン抑え込んだ浦和DF石原広教、決死のブロックでも大仕事「去年の悔しさはみんな忘れていない」

[4.13 J1第10節 町田 0-2 浦和 国立]

 今季初となるアウェイでの勝利。前節首位の町田を相手に無失点勝利を収めた浦和レッズでキラリと光る守備を見せたのが、右SBで3試合連続フル出場のDF石原広教だった。町田のキーマンである左シャドーのMF相馬勇紀に仕事をさせず、「1対1になるシーンはあったけど、(安居)海渡と(金子)拓郎くんもヘルプに来てくれた。1人だけじゃなく右サイド全員で抑え込めた」と仲間にも感謝しながら胸を張った。

 ピンチを境に集中力が増した。ピンチとは浦和が1-0とリードしていた前半の25分、相馬にクロスを上げられ、FW西村拓真に危険なヘディングシュートを打たれた場面だ。 「あのシーンでは自分の足に当てることができると思ったけど、相手に上回られた。もっと寄せなければいけないとスイッチが入った。それからはやられていないのかな」  2022年カタールW杯出場の相馬とのマッチアップに勝って小さなガッツポーズをする場面もあり、「1対1を作られるシーンもあったけど、我慢してクロスを上げさせないようにした。きょうはギリギリで抑え込んだ」と充実感を漂わせた。  後半の立ち上がりの後半8分にはミッチェル・デュークの強烈なボレーシュートを上体でブロックする逞しいシーンもあった。「(前節の)福岡戦で(岩崎悠人に)こぼれをやられていた。あの時、海渡しか詰められなかったのは反省すべきところだったので、きょうは自分だったらどうしていたかなと考えつつやっていた。みんなで防げたと思う」。  「全員」「みんな」という言葉に象徴されるように、一丸となって戦えたことを勝因のひとつに挙げる。教訓となったのは昨年8月31日の国立競技場での町田との対戦だ。浦和は前半37分に関根貴大のゴールで先制したが、後半の立ち上がりにオセフンにゴールを許して1-1に追いつかれ、同42分にチアゴサンタナの得点で突き放したが、アディショナルタイム8分にエリキにゴールを許して2-2。2度のリードを守れず勝ち点2を失った。 「去年の悔しさはみんな忘れていない。きょうも同じ国立の試合で前半にリードして試合を進めていたので、ハーフタイムにはみんなで『同じようなことはしない』と話していた。後半の進め方を共有して戦えていたというところで、一体感は自分たちが上回れていたと思う」  2点リードした中で守備ラインを下げすぎることなく、ミドルブロックでしっかりと町田を封じた。

 前半の38分に松尾佑介が2点目を決めた時には、センターサークル付近にいた石原がダッシュで自陣に戻り、GK西川周作を抱きしめる場面も。

「あれは(西川)周くんからのフィードがえぐかったから。誰も行かないのはアレかな、一人で喜んでいるのはかわいそうかなと思って」。笑いながらそう言い、目の覚めるようなロングフィード一本で松尾のゴールをお膳立てした西川を称えた。  アウェイでは昨年9月のG大阪戦以来の勝利でもあった。半年以上も間があいたことに「ヤバイす」と神妙な顔を浮かべつつ、「きょうは応援の力を感じた。勝って挨拶に行った時の(アウェイゴール裏からの)『We are REDS!』は震えた」と破顔した。  浦和は次節の京都戦からホーム5連戦が待っている。「きょうはやりたいことをやれた。町田に勝ったのはみんな自信になると思う。5連勝したい」。相馬を抑えたことも石原にとって大きな自信になるはず。背番号4は力強く前を向いた。 (取材・文 矢内由美子)★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!●2025シーズンJリーグ特集

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