OpenAIとグーグルの従業員ら、Anthropicを支持する意見書を提出
3月9日(米国時間)、OpenAIおよびグーグルの従業員30人以上が、米政府との法廷闘争に臨むAnthropicを支持する「アミカスブリーフ」提出した。署名者には、Google DeepMindのチーフサイエンティストであるジェフ・ディーンらが含まれる。
「もしこの措置が進めば、米国を代表する人工知能(AI)企業のひとつを罰することになり、AI分野のみならず、それを超えた領域における米国の産業競争力や科学的競争力に確実に影響が及ぶだろう」と、従業員らは書いている。
アミカスブリーフとは、訴訟の当事者ではないものの、当該事案に関連する専門的知見を有する第三者が裁判所に提出する意見書のことだ。
この意見書は、Anthropicが国防総省によって「サプライチェーンリスク」指定されたことを巡り、国防総省およびほかの連邦政府機関を提訴してから数時間後に提出された。指定は、国防総省との交渉が決裂した後に発効したもので、これによりAnthropicは軍需関連の請負業者との協業が大幅に制限される。
Anthropicは訴訟が進行するあいだ、軍関連パートナーとの業務を継続できるよう、仮差し止め命令(temporary restraining order)を求めている。今回の意見書は、この申し立てを具体的に支持するものだ。
意見書の署名者には、グーグルDeepMindの研究者であるジェンドン・ワン、アレクサンダー・マット・ターナー、ノア・シーゲルのほか、OpenAIの研究者ガブリエル・ウー、パメラ・ミシュキン、ロマン・ノヴァクらが名を連ねている。意見書によると、署名はあくまで個人として行なわれたものであり、各社の公式見解を代表するものではない。
OpenAIおよびグーグルは、『WIRED』のコメント要請に対して即座の回答をしていない。
「レッドライン」は正当な懸念と主張
意見書は、ペンタゴンによるAnthropicのブラックリスト指定が「業界に予測不能性を持ち込み、米国のイノベーションと競争力を損なう」と指摘する。また、「最先端AIシステムの利点とリスクを巡る専門的議論を萎縮させる」とも述べている。さらに、国防総省が契約条件に縛られたくないのであれば、単にAnthropicとの契約を打ち切ることもできたはずだと指摘している。
加えて、Anthropicが求めていたとされる「レッドライン」──自社のAIを大規模な国内監視や自律型致死兵器の開発に使用しないこと──は正当な懸念であり、十分なガードレールが必要だと主張する。
「公法による明確な規制が存在しない状況において、AI開発者が自らのシステムの利用方法に課す契約上および技術上の要件は、壊滅的な誤用を防ぐための重要な安全策となる」と、意見書にはある。
今回のサプライチェーンリスク指定については、ほかのAI業界リーダーからも疑問の声が上がっている。OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマンはXへの投稿で、「AnthropicにSCR(サプライチェーンリスク)指定を適用することは、わたしたちの業界にも、米国にも非常に悪影響を及ぼすだろう」と記し、「国防総省による非常に悪い判断であり、撤回されることを望む」と綴った。
一方で、Anthropicと国防総省との関係が悪化するなか、OpenAIは米軍と独自に契約を締結した。この動きについては、日和見的だと批判する声も一部にある。
(Originally published on wired.com, translated and edited by Mamiko Nakano)
※『WIRED』によるAnthropicの関連記事はこちら。
Related Articles
雑誌『WIRED』日本版「THE WIRED WORLD IN 2026」好評発売中!
未来の可能性を拡張するアイデアとイノベーションのエッセンスを凝縮した、毎年恒例の大好評企画の最新版「THE WIRED WORLD IN 2026」。世界中のクリエイターや実業家、科学者など40名超のビジョナリーが、テクノロジーやビジネス、カルチャーなど全10分野において、2026年を見通す最重要キーワードを掲げた総力特集! 詳細はこちら。