エチレン生産、5月以降焦点「4月は稼働維持」 中間材は値上げ相次ぐ

  • 記事を印刷する
  • メールで送る
  • リンクをコピーする
  • note
  • X(旧Twitter)
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LinkedIn
  • Bluesky
多様な観点からニュースを考える

基礎化学品エチレンの生産企業などでつくる石油化学工業協会(東京・中央)の工藤幸四郎会長(旭化成社長)は24日、エチレン生産設備の稼働について「4月は維持できる」との見通しを示した。中東情勢の緊迫で原料のナフサの調達が難しく、5月以降も稼働を続けるために各社はナフサの国内調達増や中東外からの輸入を急ぐ。減産している結果、中間材料の値上げも相次ぐ。

エチレン生産設備は原油精製の過程で得られるナフサを熱分解し、エチレンやプロピレンなどの基礎化学品をつくる。基礎化学品から樹脂などの中間材料をつくり、それらを原料に洗剤などの日用品やタイヤなど様々な最終製品ができる。

ホルムズ海峡の事実上の封鎖で調達難のナフサは4割超を中東に依存する。国内需要の4割を占める国産ナフサも原料の原油は9割超を中東から輸入しているため、実質的な依存度はより高い。

石化協の工藤会長は「5月の連休明けに(稼働を)つなげられるように各社努力している」と述べた。エチレン生産設備ごとに状況は異なるが全体としては4月中は稼働を維持できるとし「今の状況では供給を絶やさないこと、稼働をどれだけ長く持たせられるかが最優先だ」と話した。

ナフサを温存するため、国内に12基あるエチレン生産設備のうち少なくとも6基が減産している。

現状取っている対策は、ナフサの原料となる原油の備蓄を放出して国産ナフサの供給量を増やすことと、中東以外からナフサを調達することだ。調達先として米国や中南米、アフリカなど多角化を進めており、工藤会長は5月以降も稼働を維持するため原料確保を急ぐとした。

ホルムズ海峡封鎖が長引けば十分な量を確保できなくなるリスクは残る。原油の備蓄は約240日分と他国と比べ高い水準だが有限だ。他国も非中東産の輸入拡大を目指している。中東以外からは「価格さえ気にしなければ調達できないことはない」(化学大手幹部)との声もあるが、原料コストはかさむことになり価格転嫁へとつながる。

最終製品の手前の中間材料ではすでに値上げが相次ぐ。信越化学工業が16日に建築資材などに使われる塩化ビニール樹脂を約2割値上げすると発表した。これを皮切りに三菱ケミカルグループは自動車のテールランプなどに使う樹脂を、クラレは接着剤などの材料となる樹脂をそれぞれ値上げすると発表した。

値上げ幅が過去より高水準な製品もある。仮にナフサを調達し供給網を維持できても最終製品が値上がりし、家計に影響が及ぶ可能性は高い。

工藤会長は24日「残念ながら顧客に価格転嫁の発信をしている。(中間材の)相当な価格アップで、やっていけないという顧客企業も出てくるだろう」と話した。

ナフサだけでなく中間材料も約2カ月分の在庫があるとされるが、製品ごとに在庫水準は異なる。原油やナフサから、エチレン、中間材料、最終製品に至るまで供給網は長大でかつ複雑だ。医療現場や車向けなど高い安全性や特定仕様が求められている製品には代替しにくいものもある。

高市早苗首相は24日、ナフサなど石油関連製品についても世界の供給状況や国内在庫を踏まえた対策をまとめるよう関係閣僚に指示した。樹脂などの中間在庫もあって石化製品の供給が直ちに途絶える状況にはないが、石化協の工藤会長は「個別の樹脂では在庫がタイトなものもあり、きめ細かい対応を進める」とした。

同日、石化協が発表した国内のエチレン生産設備の2月の稼働率は75.7%で、43カ月連続で好不況の目安の9割を下回った。各社の減産対応で3月はさらに下がる可能性もある。ただ、設備維持の観点で最低でも7割前後の稼働率が必要とされるため、下限ギリギリで運転が続けられる見通しだ。

設備は一度止めると再稼働に時間がかかるほか、老朽化した設備も多いため再稼働時にトラブルが起きる可能性もある。大規模装置のため低稼働では採算が悪化し、通常時では1カ月止まると1基あたり数十億円程度の損失にもなる。

原料調達難の長期化は供給網の維持、基礎化学品を手がける企業の業績の双方に深刻な影響を及ぼす可能性があり「止めないようにあらゆる手をつくしている」(化学大手幹部)。

  • 記事を印刷する
  • メールで送る
  • リンクをコピーする
  • note
  • X(旧Twitter)
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LinkedIn
  • Bluesky

こちらもおすすめ(自動検索)

フォローする

有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。

春割で無料体験するログイン
記事を保存する

有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む

記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。

春割で無料体験するログイン
図表を保存する

有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

春割で無料体験するログイン
エラー

操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。

権限不足のため、フォローできません

日本経済新聞の編集者が選んだ押さえておきたい「ニュース5本」をお届けします。(週5回配信)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

関連記事: