トランプ氏、ウクライナ和平で「欧州全体が参加」の安保合意案 詳細不明で欧州は戸惑い
(CNN) トランプ米大統領は5日、プーチン・ロシア大統領の特使と会談した後、ウクライナ和平に向けて「欧州全体が参加する可能性のある」新たな安全保障合意案があると述べた。ただし提案の詳細は示さず、欧州諸国からは戸惑いの声が上がっている。
トランプ氏は記者団に「大きな合意になるだろう。ウクライナだけにとどまらず、欧州全体がかかわる可能性さえあるといえる。大きな、素晴らしい合意となり、だれもが大喜びするだろう」と語ったが、詳しい説明はなかった。
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、トランプ氏はこれまで何度も戦争終結に向けた合意を成立させると約束してきた。5日にホワイトハウスでロシアのドミトリエフ大統領特別代表と会談した後、新たな合意案に言及した。
トランプ氏の長女の夫クシュナー氏も同日、X(旧ツイッター)への投稿で「全員の安全保障上の懸念に対応し、将来にかけて紛争のリスクを減らし、安定した予測可能な安全保障環境を築く」ために「より広い欧州安全保障体制」が必要との考えを示した。
クシュナー氏はまた、「欧州とロシアはこれまで30年以上にわたり、持続的な安全保障枠組みの確立に苦心してきた。過去数十年にわたる不信感や相反する安全保障上の懸念、この戦争がもたらした破壊的な結果によって、枠組みの確立は極めて困難な課題となっているが、持続的な平和のためにぜひとも必要だ」と述べた。
ただしクシュナー氏は、ウクライナを侵攻したのがロシアだという事実や、欧州が非難しているロシアのハイブリッド攻撃には言及しなかった。
同氏はさらに、ロシアと欧州の間で軍事的な透明性を高め、エスカレーションのリスクを抑えるための相互的措置を設ける必要があるとも主張した。この発言は、欧州の一部から警戒感を招く可能性がある。ロシアは長年、東欧における北大西洋条約機構(NATO)のプレゼンス自体がエスカレーションだとする立場を示してきたからだ。
クシュナー氏は、米国が最近ウクライナやNATO、その他の欧州パートナー諸国と話し合い、トランプ氏が欧州首脳らとの間で安全保障に関する協議を「前進させた」と述べた。
ただし、ウクライナ情勢に詳しい複数の欧州当局者らはCNNに、トランプ氏の発言が何を指しているのか分からないと語った。
ウクライナのゼレンスキー大統領も、トランプ氏の言う新たな安保枠組み案については詳細がよく分からないと述べた。一方でロシアと欧州の合意は簡単なことでなく、危険を招く恐れもあるとの懸念を示した。
ゼレンスキー氏は6日、CNNとのインタビューで、来週アブダビで開かれる米国主導のロシア・ウクライナ協議に向け、5日に電話でクシュナー氏、ウィトコフ米特使と話し合ったことを明らかにした。
トランプ氏は5日、主要なウクライナ支援国であるドイツのメルツ首相と電話で会談した。独政府の当局者らは会談の詳しい内容を公開しなかったが、トランプ政権からの新提案はここ数カ月の交渉に基づいていると述べた。
トランプ氏が他の欧州首脳らと話し合っているかどうかは明らかでない。
一方でNATOのハート報道官は、アブダビでの3者協議に向け、5日にブリュッセルでNATOと米国、ウクライナ、欧州連合(EU)と欧州各国による会合が開かれたことを確認した。
ハート氏は「ウクライナでの戦争の公正で持続的な終結を促す」ための会合だったと述べたが、詳細は明かさなかった。