米ドル/円は165円も覚悟!? 「骨太の方針」への懸念と日本の個人投資家による逆張りの踏み上げで、円安が一段と進む恐れ!
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米ドル/円は165円を試す恐れも!「骨太の方針」と個人投資家の逆張りが円安を後押し
前回(2026年7月10日)のコラムでは、円安は最終局面にあると主張していたが、その判断自体は変わらなくとも、市況の変化で値幅の修正に迫られている。円安が一段と進行したのは、ファンダメンタルズと市場の内部構造の両方から材料が出たからだ。
【※関連記事はこちら!】 ⇒円売り一辺倒の市場センチメントに変化の兆し!今の状況は「円安バブル」と言っても過言ではない。高値更新した英ポンド/円に反落を示唆するサインが点灯(2026年7月10日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
まず、「骨太の方針」がもたらすインパクトだ。6月末に内容がある程度漏れたところで、すでに財政規律への懸念は深まっていたが、今回、閣議決定された正式な方針では、今まで使ってきた「財政健全化」という文言の削除が確認され、結果として債券売り、円売りに拍車をかけた。
市場の内部構造の面では、国際通貨先物市場における米ドル買い・円売りポジションの積み上がりがあった。一時は史上最大規模とされたほどで、こうした投機筋のポジションの偏りは、本来なら米ドル/円の頭を抑える存在になるはずだ。
しかし、日本の個人投資家の逆張り(米ドル売り・円買い)が総計で2兆円を超えた、という衝撃的な事実が判明、先物ポジションの影響を相殺し、円安が一段と押し進んでもおかしくないと思われる。
日本の個人投資家が逆張りを強めた背景には、日本当局が為替介入の可能性を繰り返し示唆してきたことが大きい。もともと逆張りの傾向が強いとされる日本の個人投資家は、当局の先を回ろうとしてあらかじめ米ドル売り・円買いのポジションを積み上げてきた模様だ。こうなると、皆が介入頼みとなり、介入がなかなか実施されない場合、米ドル売り・円買いポジションの損切りに伴う、いわゆる「踏み上げ」が米ドル高・円安を大きく推進させる恐れがある。
皮肉だが、当局が「三度目の正直」(介入)をやらない理由の1つに、日本の個人投資家の逆張りが挙げられるだろう。何しろ、米ドル売り・円買いのポジションが大きく積み上げられている状況においては、当局の介入があっても焼け石に水、個人投資家の利益確定に利用されるだけで終わってしまい、まったく役に立たない恐れが大きいからだ。
ゆえに、足元でじわじわ上昇している米ドル/円の市況は、むしろ「正当化」されやすい。当局の介入なしでは、いったん165円の大台の打診を覚悟せざるを得ないかもしれない。
(出所:TradingView)
消費税減税が決まるまでは米ドル高・円安が進みやすい?
もっとも、当局にとっては前述の状況も含め、いろいろな事情から早期に介入しにくいのではと推測される。市場が重視する財政規律と大きな関連性を持つ消費税減税の決定が、8月上旬まで先送りされたから、方針が固まるまでは動けない公算が大きい。
消費税減税は高市政権の公約の1つだっただけに、完全な見送りは想定されず、何らかの形で実施されれば、財政規律への懸念が強まり、一段の円安進行を覚悟せざるを得ない。このような思惑が目下の市場を支配しているから、その前に介入があっても、結局は効果が帳消しにされてしまうかと思われる。
こうなると、消費税減税案が決定されるまでは、米ドル高・円安が進行しやすいとも推測される。日本の個人投資家の損切りを狙い、海外の投機筋が一段と仕掛けてくる可能性も高い。
日経平均が急落しても米ドル/円が動かなかった異常事態
高市政権への誤解かはわからないが、海外メディアの多くは総じて「高市政権が意図的に円安政策を推進」と報道しているようで、事態はかなり深刻だと思う。
事態の深刻化を説明できる好例が、先週金曜日(7月17日)の日経平均の急落だ。取引時間中には一時4130円安と、史上2番目の下落幅を記録。終値でも2694円安と史上5番目の下落となったわけだが、株の大幅下落があっても米ドル/円はまったく動かなかった。
(出所:TradingView)
従来の株安・円高の連動がほとんどと言っていいほど見られなかったこと自体、かなり異常なので、深く憂慮せざるを得ない。
とはいえ、筆者は円安のトレンドがかなり行きすぎで、またいずれ反転する、というメインシナリオを放棄したわけではない。言いたいのは、反転するまでにもう一度円安のクライマックスを覚悟しておく必要がある、ということだ。寝ないで働いている高市さんには申し訳ないが、総理大臣として通貨の品格を挽回していただきたい…市況はいかに。
7月23日(木) 21:30執筆