高市早苗首相のNATO会議欠席、外交機会逸す 欧州と関係強化へ貴重な場
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高市早苗首相は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席を見送った。衆院で与党が多数を占める現状を背景にした強気の国会運営が野党の反発を招き、審議が停滞したためだ。外交日程に影響し、欧州の首脳と連携を深める機会を逃した。
今回の首脳会議ではウクライナや中東に加え、中国と北朝鮮を念頭に置いた東アジアの情勢も議題になる。日本にとっては一堂に会した欧州の首脳と東アジアの安全保障上の懸念を共有して協力を強める貴重な機会だった。
NATOは日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド(NZ)をインド太平洋地域の重要なパートナーとして「IP4」と呼ぶ。今回は韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が出席した。4カ国の首脳はNATO会議の機会を利用して会談することもあった。
岸田文雄首相(当時)は2022年から3年連続でNATO首脳会議にIP4首脳として出席した。NATO首脳会議に日本の首相が出席したのは岸田氏が初めてだった。ロシアのウクライナ侵略を踏まえ「欧州とインド太平洋の安全保障は切り離せない」と訴えた。
25年は石破茂首相(同)が中東情勢が緊迫したのに加え、米国を交えたIP4特別会合の開催が見通せなくなったことなどを考慮して欠席した。今回も高市首相が出席を見送るため、日本の首相のNATO首脳会議への不参加は2年連続になる。
政府内には首相不在による影響を限定的にとどめたいとの声がある。外務省幹部は「首相がNATO首脳会議に行った方がいいのは論をまたない」と語った。
別の幹部はNATO首脳会議の性格が変わったことを首相が欠席した理由に挙げる。「これまではNATOとIP4の会合などがあったが、いまはNATO加盟国の首脳会談で成果を出そうとしている」と強調した。
一方で日本と欧州は関係を強化すべき局面にある。互いに同盟国として安全保障を頼る米国がトランプ政権のもと予見可能性を低下させている。
NATO加盟の欧州諸国は米国への依存からの脱却を模索している。日本も欧州のほかオーストラリア、韓国など価値を共有する国と関係を強める必要性が増す。
日本からは茂木敏充外相と小泉進次郎防衛相が参加して結束を訴える。ただ首相自らが各国首脳と会い、日本の立場を直接伝える機会を失った事実は大きい。
首相が欠席した背景には国会運営の行き詰まりがある。政府・与党は衆院で3分の2を超える議席の数を背景に法案の審議を進めてきた。
首相の秘書が誹謗(ひぼう)中傷動画の作成に関与したとの報道や議員定数削減法案などの進め方に野党は反発し、本会議や委員会への出席を見合わせた。
政府・与党は各法案を国会会期末までに成立させようとしたが、かえって審議の停滞を招いた。
木原稔官房長官は7日の記者会見で首相がNATO首脳会議を欠席する理由を説明した。「国会会期中に行われるものであり、国会の日程を含む諸般の事情を総合的に考慮した結果」と語った。
6日の参院決算委員会で首相は「今週月曜日が決算委員会、水曜日が党首討論と大方の目安をうかがっていたので、NATOの出張も外相と防衛相に代理で行ってもらうことにしていた」と述べた。国会審議の混乱で結局、党首討論は先送りになった。
官邸の国会対応のまずさを指摘する声もある。与党内には首相周辺には与野党の折衝や国会対策の実務に精通した人材が必ずしも手厚くないとの見方がある。数の力を背景にした国会運営への野党の反発を見誤ったとの声が上がる。
すべての法案審議を拒否した野党も国会の混乱の責任を負う。日本の首相は主要国首脳に比べて国会の審議に縛られることが多い。与野党双方が首脳間の外交日程に目配りしなければ国益を逸するだけだ。
慶大の鶴岡路人教授は首相がNATO首脳会議に参加する意義に関し「北朝鮮や中国を念頭にインド太平洋情勢の厳しさを伝えることだ」と話す。NATO内で中国への脅威の認識が高まっていると分析し「日本にとっては貴重な機会だった」と指摘した。
「欧州で日本の防衛装備も期待されている」とも述べ、関連会合に小泉防衛相が参加した意義はあるとの見方を示した。
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