アンソロピックの上場に備える 株は5種類、価値上昇で13兆円赤字の謎
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米人工知能(AI)新興企業のアンソロピックが、株式上場に向けた目論見書を公開しました。2026年上半期の売上高は前年同期の約14倍に急増し、直近の4〜6月期には営業黒字に転換しました。ところが、上半期の最終損益は約807億ドル(約13兆円)の巨額赤字です。
急成長するAI企業に、なぜこれほどの損失が生じたのでしょうか。目論見書から浮かび上がった独特な資金調達や株式の仕組みを読み解きます。
巨額赤字の主因は、米アマゾン・ドット・コムなどに発行した転換型手形の評価損です。アンソロピックの企業価値が急上昇したことで、投資家が将来株式を受け取れる権利の価値も膨らみ、会社側には会計上の損失が生じました。
一方、アマゾンはアンソロピックの優先株式について、4〜6月期に約505億ドルの評価益を計上しています。米S&P500種株価指数の構成企業の利益の約15%を、アマゾンとグーグルの親会社アルファベットの株式投資関連の評価益が占めたという分析もあります。AI企業の企業価値上昇が、米国株全体の利益にも影響を与えていたのです。
目論見書では、アンソロピックの独特な経営統治の仕組みも明らかになりました。普通株式はなんと5種類。
上場する「A株」とは別に、アマゾンなど戦略的事業パートナーが主に取得できる無議決権の「N株」、創業者側が議決権の50.1%を維持するための「F株」、AIの安全性を監督する公益信託が持つ「T株」、従業員向けの「E株」があります。創業者7人は経済的な持ち分の80%を慈善目的に充てると表明していますが、経営支配権は維持できる設計です。
巨額の設備投資をどう賄うかも焦点です。アンソロピックはアマゾン、グーグル、米ブロードコムとの間で合計770億ドルの新たな資金調達枠を確保していました。ブロードコムとの契約では金利は年9%で、利息を現金で払わず元本に上乗せする「PIK方式」を採用。業績条件によっては13%に上昇します。
さらにクラウド利用やAI設備のリースには巨額の将来支払い義務があります。急成長を続ける一方で、計算資源の確保には長期にわたる資金負担が伴います。
社員を「Ants(アリたち)」と呼ぶ企業文化も興味深いところです。従業員1人当たりの年間売上高は660万ドルを超え、新規株式公開(IPO)後には巨額の株式報酬費用の計上も控えます。上場時の証券コードは「ANT」を予定しています。
番組では、おなじみのウォール街の主幹事争いも。モルガン・スタンレーが優勢と伝えられていたトップレフトの座を、最終的にゴールドマン・サックスが獲得しました。世界の金融機関が競う大型AI企業のIPO。次に控えるOpenAIの上場を見据え、AIブームを支える金融の仕組みを掘り下げます。
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