NY市場サマリー(22日)米国株続伸、ドル一時2週間ぶり安値、国債利回り小幅上昇

<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが一時、2週間ぶりの安値に沈んだ。 市場は引き続き、トランプ米大統領の関税を巡る具体的な発表待ちとなっている。

トランプ大統領は21日、欧州連合(EU)に関税を課す考えを表明した。また、中国からの輸入品に対して2月1日から10%の関税発動を検討していると明らかにした。

ジェフリーズのグローバルFX責任者ブラッド・ベクテル氏は、「何らかの調整が予想されていたが、(トランプ氏の)就任初日に関税発動を巡る大きな動きがなかったことが利益確定売りを誘発した」と述べた。

主要通貨に対するドル指数は0.01%高の108.14。取引序盤に一時、1月6日以来の安値となる107.75まで下落した。

ユーロは0.08%安の1.0421ドルとなった。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、明確な方向性がないまま、国債利回りは小幅に上昇した。投資家らはより慎重になり、新政権の関税や移民などに関する政策の更なる発表を待っている。

「トランプ関税」を受けて債券市場は宙ぶらりんの状態となり、政権の行動の遅れを受けてますます困惑している。市場参加者は全体として、トランプ米大統領がより明確な政策を打ち出さない限り、大きなポジション構築をためらっている。

トランプ氏は21日、欧州連合(EU)に関税を課す考えを表明した。また、中国からの輸入品に対して2月1日から10%の関税発動を検討していると明らかにした。ただ中国製品に対する10%の関税は、トランプ氏が選挙運動中に約束した60%の税率よりもはるかに低い。

サンジャック・アルファの最高投資責任者(CIO)アンディ・ウェルズ氏は、国債利回りの上昇傾向は続くだろうとの見方を示す。「われわれは2%ではなく3%のインフレを想定しており、今年は米連邦準備理事会(FRB)が利下げをするとは考えていない」とした。

午後の取引では、ベンチマークとなる10年国債利回りは2.7ベーシスポイント(bp)上昇し4.601%となった。30年債利回りは1.4bp上昇し4.817%となった。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は続伸して取引を終えた。S&P総合500種(.SPX), opens new tabは日中最高値を更新。動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX.O), opens new tabの四半期決算に支援された。トランプ大統領が民間部門による人工知能(AI)インフラへの最大5000億ドルの投資を発表したことを受け、テクノロジー株が買われた。
S&P500の主要11セクターでは、情報技術セクター(.SPLRCT), opens new tabの上昇率が2.5%で最大だった。半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabとマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabが買われ、同セクターを押し上げた。
トランプ氏は21日、オラクル(ORCL.N), opens new tab、オープンAI、ソフトバンクグループ(9984.T), opens new tabが「スターゲート」と呼ぶ合弁事業を始める計画で、米国でデータセンターを建設して10万人以上の雇用を創出すると発表した。ただ資金調達に関する詳細は明らかになっていない。

ネットフリックスは21日、2024年第4・四半期に1890万人の新規会員を獲得したと発表。スポーツのライブ配信や韓国ドラマ「イカゲーム」続編の人気で新規会員の増加数は過去最高となり、市場予想を大きく上回った。株価は9.7%上昇し、S&Pを押し上げた。

ただ、この日上昇した業種は情報技術と1.1%高となった通信サービス(.SPLRCL), opens new tabのみ。公益事業(.SPLRCU), opens new tabは2.2%安で11セクターで最大の下げを記録した。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米新政権の政策を巡る不確実性を背景に安全資産としての金が買われ、続伸した。

トランプ米大統領は22日、ロシアがウクライナ停戦交渉に応じなければ、「他の参加国」と協力し、「最高水準の税金、関税、制裁をするしかない」とSNSに投稿した。トランプ氏は大統領就任日の20日には予想されていた一律関税や対中関税の即日発動を見送っていた。新政権の外交や関税政策が今後、地政学的リスクや物価、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策にどのような影響をもたすのか不確実性が強まる中、安全資産としての金需要やリスク回避的な資金の逃避先としての金買いが旺盛だった。外国為替市場で早朝にドルが対ユーロで軟化する場面では、ドル建てに伴う金の割安感を意識した買いが先行。あと、ドルが堅調を取り戻したものの、金の利食い売りは限定的だった。

市場関係者の間からは、各国中銀による堅調な金購入に加え、投資目的の金需要が、現物需要の低下を相殺するとの見方が聞かれた。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、トランプ米新政権の関税引き上げを巡り不透明感が広がる中、下落した。

トランプ大統領は21日、中国製品への10%の追加関税の検討や欧州連合(EU)製品への追加関税に言及。22日にはSNSでロシアがウクライナ停戦交渉に応じない場合「他の参加国」と協力し、「最高水準の税金、関税、制裁をするしかない」と投稿した。ただ、具体的な措置は依然不透明であり、警戒感から相場は売りが優勢となった。

NYMEXエネルギー:

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