混沌とする沖縄県知事選、告示まで1カ月 逆風の「オール沖縄」、まとまりを欠く保守勢力

沖縄県知事選に立候補を表明している(左から)古謝玄太氏、玉城デニー氏、下地幹郎氏

沖縄県知事選(9月13日投開票)の告示まで27日、1カ月となった。3選を目指す現職の玉城デニー氏(66)と、保守勢力が推す元那覇市副市長の新人、古謝玄太氏(42)、民主党政権で郵政民営化担当相を務めた下地幹郎氏(64)らが立候補を表明。3氏は集会で政策や実績をアピールし、沖縄政治の「天王山」に向けた動きが熱を帯びているが、各陣営で結束の乱れも指摘され、情勢は混沌(こんとん)としている。

辺野古沖事故も影響

「誰一人取り残さない優しい社会、平和で誇りある豊かな沖縄を実現するために、しっかりとした足跡を残してきた」。玉城氏は26日、那覇市内で開かれた共産党の演説会で2期8年の実績を強調し、基地のない平和な島を実現すると訴えた。

玉城氏は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設が大きな争点の一つとみるが、玉城氏を支持し、辺野古移設反対で結集する「オール沖縄」勢力はかつてない逆風にさらされている。

辺野古移設を巡る国と県との法廷闘争が県側の敗訴で決着し、工事は着々と進む中、今年1月の名護市長選だけでなく、2月の衆院選でも沖縄の全選挙区で敗れ、退潮が顕著になっている。そのためか、玉城氏は「オール沖縄」をあまり前面に打ち出していない。

辺野古沖で船2隻が転覆し同志社国際高校2年の女子生徒ら2人が死亡した事故では、2隻を運航する抗議団体と玉城氏の関係や、事故後の言動を巡り、SNSなどで批判が高まった。オール沖縄関係者は「今回は厳しい。このまま選挙に突入するのが怖い」と話す。

「第三極」登場で混沌

一方の保守勢力も、まとまりを欠く印象はぬぐえない。

自民党が全面支援する方針の古謝氏は辺野古移設容認の立場。経済界から強い支援を受け、県民所得や観光消費の倍増を訴える。国政野党の国民民主、参政両党から推薦を受けたほか、自民党との連立政権を離脱した公明党の県本部も推薦する方向で検討しており、「古謝チームが『オール沖縄』になっている」(国民民主党の榛葉賀津也幹事長)。

だが、自民党関係者からは「(陣営の)一部の後援会があまり力を入れていない」と結束の乱れを懸念する声も。古謝氏の知名度不足も課題だ。

玉城氏も古謝氏も、いずれも政党色を排し「県民党」を掲げる点は共通しているが、「第三極」としての存在感をアピールする下地氏が参戦したことで情勢は一変した。

下地氏は政界引退を表明していたが一転、13日に出馬を表明。軟弱地盤を埋め立てる辺野古移設の現行計画を見直すとし、軍民共用空港を整備すると主張。那覇市中心部に位置する米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添沖移設については、容認の立場を取る玉城、古謝両氏に対し、明確に反対の姿勢を示した。

下地氏は保守層に一定の支持があり、当初は古謝氏の票が割れるとみられていたが、共産党などが主張する那覇軍港移設反対を打ち出したことから「こっち(玉城氏)の票も読めなくなった」(オール沖縄関係者)。

下地氏を支えてきた実兄で県内建設大手「大米グループ」会長の下地米蔵氏は今回、古謝氏への支持を表明しており、どれほど得票するかは未知数だ。3氏の陣営は票の取りまとめに躍起になっているが、いずれも盤石とはいえず、票の流れが読みにくくなっている。

知事選には3氏のほか、会社代表の新人、比嘉隆氏(49)も立候補を表明している。(大竹直樹)

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