米ドル/円は米雇用統計に波乱があっても、146円前後のサポートゾーンを下抜けることはないとみる! 9月の日銀会合は政策金利を据え置き、円の上昇は限定的に
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米ドル/円は今晩の米雇用統計後に波乱があっても、レンジの下限を守れるとみる
米ドル/円は底堅く推移している。今月(2025年9月)米利下げ自体がほぼ確実視される中、米ドルは「意外」に堅調な値動きを見せており、本日(9月5日)米雇用統計の試練があっても、基本的にレンジの下限を守れるのではないかとみる。
ジャクソンホール会議後に付けた安値であった146.57円が大きなポイントを示唆している。さらに、7月末の145.84円~8月14日(木)安値の146.20円がしっかりとしたサポートゾーンと化しており、仮に今晩(9月5日)米雇用統計後の波乱があっても、完全に下放れできないかと推測される。
(出所:TradingView)
少なくとも「米利下げと日銀利上げの同時進行」はないだろう。 9月の日銀政策は据え置きを有力視する
もっとも、日銀の2025年年内利上げといった観測が目先低下してきたのも、米ドル/円の堅調に寄与している。
たびたび指摘してきたように、本来なら、金融政策の相違があって、円買い自体が正当化されるはずだったが、日本の政局不安もあった上、ジャクソンホール会議後、日銀幹部の発言がタカ派に受け取れなかったことがあって、市場関係者の多くは、日銀の早期利上げ継続に確信を持てなくなってきたようだ。
少なくとも、一時懸念されていた「9月米利下げと日銀利上げの同時進行」はなかろう。仮に年内の利上げがあったとしても、日銀は米国の利下げのタイミングをもって利上げを決定しないと思われる。
かねてから懸念してきた米関税問題やその影響を見極めているうちはリスクを取れないから、9月の日銀政策は据え置きを有力視する。
為替は米ドル次第! 日銀が利上げするからという理由で安易に円を買うことはできない
また、繰り返し指摘してきたように、今年(2025年)上半期における米ドル安自体が「史上最大」となったからこそ、ドルインデックスの下げ止まりも目立つ。
(出所:TradingView)
振り返ってみると、2025年6月時点では、来年(2026年)夏場までに米利下げが4回ある、といった観測が支配的だった。ゆえに、その時点における米ドル売りが最盛であったが、足元コンセンサスである「2025年年内に2回利下げあり」といった観測自体、材料の蒸返しにすぎないと言えるから、今さら米ドル売りに傾くとは限らない。
少なくとも目先まで、米ドル全体も堅調に推移しており、8月以降のチャートパターンも米ドル/円と極めて似ているかと思う。
換言すれば、米ドル/円はドルインデックス次第であり、円サイドの事情がほぼ無視されているのも、わかりやすいロジックだと思う。
為替は米ドル次第なので、円の事情が重視されるのは、往々にしてリスクオフの時期など限られた局面だ。残念ながら、これこそ為替の真実なので、日銀が利上げするからと言って安易に円を買えない。
金(ゴールド)とドルインデックスの逆相関が見られないということは、リスクオン局面であるということを示している
最近、金(ゴールド)市場の動向も気になる。金(ゴールド)は、今年(2025年)4月に高値を更新し、再度、史上最高値を付けているところで、本来なら米ドル全体の一段安があってもおかしくない。しかし、ドルインデックスの堅調が示しているように、従来のような金(ゴールド)とドルインデックスの逆相関関係が見られていない。
(出所:TradingView)
換言すれば、金(ゴールド)の高騰が米ドル安に依存していない以上、リスクオンの局面にあり、米ドルは従来の想定より底固く推移しているということである。
最近、26週移動平均線が米ドル/円のサポートと化してきた。ヘッジファンドをはじめ、国際的な投機筋の多くが同線を重視しており、継続的に上回っている場合、円買いポジションは一段と決済を迫られる可能性が高い。
(出所:TradingView)
したがって、CFTC(米商品先物取引委員会)における円買いポジションの解消傾向が続いているのも当然の成り行きで、円の買い越しが5万枚以下に減らない限り、まだ削られる余地があるだろう。再度、円売りへの転換もあり得るから、当面は円の上昇があっても限定的だと思うわけだ。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
ちなみに、ユーロ/円は昨年(2024年)高値を更新するとは限らないが、昨年の高値圏に再度接近してきた。それも円売りの傾向として捉えられ、円の上昇が安易に見られない証拠の1つだと思う。
(出所:TradingView)
なお、米ドル/円の200日移動平均線(200日線)は目先148.90円前後に位置しており、これからブレイクしていくハードルが高いとは言い切れない。
今晩(9月5日)の米雇用統計を含め、今月(9月)の米利下げ後の相場を推測する場合もにも、200日線奪還の有無が1つ重要な参考ポイントとなってこよう。
(出所:TradingView)
米ドル/円に限らず、米利下げ後、米ドル全体が売られるのではなく逆に買われるのであれば、2025年年内いっぱいまで堅調な推移に留まる公算が高い。市況はいかに。