ウクライナがロ製油所攻撃再開、深まる米との亀裂 プーチン氏報復表明
ウクライナのドローン攻撃を受けたロシアの精製所、9月20日撮影 REUTERS/Stringer/File Photo
Daniel Flynn Max Hunder[キーウ 15日 ロイター] - ウクライナは15日、ロシアの製油所を攻撃した。これに先立ち、ウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ米大統領が発表したエネルギー施設への攻撃停止について、ロシアが順守していないとして、ウクライナも応じるのは「終わりだ」と表明した。トランプ氏が11日、ロシアとウクライナがエネルギー施設への攻撃停止に合意したと突然発表して以降、ウクライナはロシアの製油所への攻撃を停止していた。しかし、その後もロシアは発電所などのエネルギー施設を含め、ミサイルやドローン(無人機)による攻撃を繰り返し、死者が出たほか、数十万人への電力供給が途絶えた。ゼレンスキー氏は15日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に掲載されたインタビューで、ウクライナの忍耐は限界に達したと表明。「(製油所攻撃の)停止はもうやめる。終わりだ」と述べた。また、スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」の軍用版端末の機能が今週変更され、ウクライナがドローン運用能力が制限されたことについて、「技術的な問題ではなく意図的」とし、政策上の決定だったとの見方を明確にした。スペースXを率いるイーロン・マスク氏は「速度や利用の制限は全て、米軍と、最終的にはPOTUS(トランプ氏)が決めている」とXに投稿した。ゼレンスキー氏は、製油所への攻撃停止を求めるトランプ氏の要求を事実上拒否することで、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、米国との間に生じている最大の亀裂を一段と深める恐れがある。トランプ氏は攻撃停止をロシアとウクライナ双方に求めていると説明してきたが、公の発言では主にウクライナによるロシア製油所への攻撃に焦点を当てている。トランプ氏は、こうした攻撃が世界市場での軽油価格上昇を招いていると批判している。 ウクライナでは、米国が提供する技術になお依存する軍の戦闘に、この亀裂が深刻な影響を及ぼしかねないとの懸念が広がっている。ウクライナ当局者らはここ数日、ロシアのミサイル飛来について、西側同盟国から通常受けている警報が届いていないと報告している。警報は米国の衛星による探知に依存している。トランプ氏は情報提供を差し控えていることを否定。ゼレンスキー氏によると、警報が提供されなかった理由について、ウクライナ側には技術的な不具合と説明された。ウクライナ国防省の関係者は15日、スターリンクの軍用端末は移動中でも機能するようになったが、時速100マイル(160キロ)以下に限られると述べた。ウクライナ当局者らは、中距離攻撃やロシアからのドローン防衛のための迎撃用ドローンには、この速度では遅すぎるとしている。英国のストリーティング国防相は、ヘグセス米国防長官と15日に会談し、ウクライナにおけるスターリンクの復旧を歓迎したと述べた。ただ、中断が発生した理由については踏み込まなかったとした。米FOXニュースに対し「トランプ氏にはウクライナ問題に関与してもらう必要がある。彼はこれまでそうしてきたし、戦争を終結させる上で、ウクライナがロシアの侵略を撃退するために必要な武器を確保することと同様に、外交ルートも重要だ」と述べた。15日にはロシア中央部リャザン州の製油所が攻撃された。同製油所は国営石油大手ロスネフチが所有し、ロシアの石油精製処理量全体のほぼ5%を占め、首都への燃料供給の一翼を担っている。地元当局者によると、ウクライナによる大規模なドローン(無人機)攻撃により製油所で火災が発生した。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナによるロシア国内の石油精製施設への攻撃に対し報復すると表明。インタファクス通信が報じた。プーチン氏は、ウクライナによる攻撃で特に重大な被害は出ていないとしている。ウクライナ当局者は、夜間にロシアの製油所を攻撃したと確認。ロシアが今週、エネルギー施設への攻撃停止に違反し、弾道ミサイルやドローンによる激しい攻撃を行ったことへの対応だと説明した。ゼレンスキー氏はFTとのインタビューで、米政府がロシア政府との商業取引に熱心なことや、トランプ氏がプーチン氏に称賛の念を抱いているように見えることを批判した。両国の亀裂を受け、欧州各国やウクライナは米国の情報や技術に大きく依存していることへの懸念が高まっている。トランプ政権は既にウクライナへの武器供給を停止しているが、欧州の同盟国がウクライナに代わって米国製兵器を購入し続けることは認めている。欧州には、スターリンクやロシアのミサイル発射を探知する米国の衛星システムに代わる利用可能なシステムが用意できていない。ゼレンスキー氏によると、ウクライナ軍当局者は米側から、ロシアのエネルギーインフラへの攻撃を停止しなければ、米政府が情報提供を遮断すると警告されていた。
米政権との関係修復に向けてエネルギー施設への攻撃停止に応じる用意があるかとのFTの問いにゼレンスキー氏は、見返りとして米国製地対空ミサイル「パトリオット」の迎撃弾を追加供与される場合に限り同意できると答え、それが受け入れられる「最低限」の条件だとした。