米小売売上高予想下回るもドル高続く?|大橋ひろこ

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8/14㈮に発表された米国の7月小売売上玉は全項目が予想を下回る全面的な弱さでした。総合▼0.6%(予想+0.1%)は2025年10月以来の減少で、1年超で最大の下げ幅です。

変動の激しい4分野を除いたコントロールグループ(=コア小売売上高)も▼0.4%(予想+0.3%)と弱かったことは深刻。GDPの個人消費に直結する数字でマイナスは2025年9月以来です。米国民の消費の弱さが一部業種に限らないことを示しています。

※コントロールグループ=コア小売売上高①自動車・同部品 ②ガソリンスタンド ③建材・園芸用品 ④外食・飲食店など変動の激しい4分野を除いた指標

しかし下がらぬ米国の年内利上げ折込み

小売売上高発表の後でも米国の年内12月の利上げ折込みは約67%程度もあります。

8/13㈭のPPI発表後、ヘッドラインが弱かったにもかかわらず12月利上げ折込がむしろ上昇した背景は、こちらの記事を参照いただければと思いますが、株高が続く限り小売売上高が弱かったからと言ってすぐに粘着性のあるインフレが鈍化するわけではなく、イラン戦争開戦前から比べると原油価格は上昇しています。完全に利上げの芽が摘まれたわけではありません。週末の米金利はあの小売売上高の数字を見ても、上昇していましたね。また、8/14㈮には8月ミシガン大学消費者マインド指数が51.0と予想を下回り、1年先のインフレ期待は4.3%と予想を上回った一方、5-10年先のインフレ期待は3.3%と予想に一致。金利はなかなか下落基調に転じません。

米国債利回り

投機筋は円キャリー再開?

日米通貨当局が協力してドル高円安に歯止めをかけようとしているのに、投機筋はまたも円キャリー(円売りドル買い)を再開しているとのニュースが。

介入がもたらす円高局面は円を売りたい向きにとっては好機だ。JPモルガン・プライベート・バンクやステート・ストリート銀行などによると、ヘッジファンドは円のショート(売り)ポジションを半減させた後、再び円を調達通貨とするキャリートレードに乗り出し始めた。ビンワニ氏は「介入はより高い水準で円を売る絶好の機会だ」と指摘し、「当局の行動を恐れてはいない。キャリートレードの機会は魅力的だ」と話す。

「ドルと米国債利回りが明確に低下しない限り、キャリートレードがドル・円を再び162円水準に押し上げる可能性がある」

ドル金利が下がらない、まだ年内利上げの可能性を残されていることも一因でしょう。日銀は利上げのサイクルにありますが、絶対的な日米金利差に十分旨味があるということでしょう。介入があれば数円の損失が発生するリスクですが、前回の介入が入った水準までは追加介入がないとの読みでしょうね。162円くらいまでは投機筋が円ショートを積極化する可能性がでてきました。当局がそれを許すのか?!甘く見るべきではないと思いますが、実際介入が止まると自然にドル円は上昇基調に戻ってしまうので、円買いを長期に保有できないという投資家も多いと思われます。

日銀は早ければ9月利上げか

8/14㈮には9月日銀に関するリーク報道があり、NY時間の小売売上高が発表される前にかけてはじりじりと円高ドル安が進んでいました。

ドル円5分足

小売売上高の発表が材料出尽くしのような格好となり、投機筋が拾ってきたかな。📰日銀、早ければ9月利上げを想定 「ペース加速」も視野=関係筋日銀が早ければ9月17、18日の金融政策決定会合で1.25%への利上げを想定していることが14日、複数の関係​者への取材で分かった。9月に利上げすれば6月15、16日の決‌定会合以来3カ月ぶり。上振れ含みの物価動向に対処し、利上げペースの前倒しも視野に入れる。

8/3(協調介入直後)は9月日銀会合での利上げ折込度は40%超程度でしたが、足元では80%近くにまで上昇しています。

にもかかわらず、ドル円相場の下落は限定的です。このような報道で9月日銀の利上げ折込が高まれば高まるほど、利上げがなかった場合の反動でさらに円安が進行してしまうというもの。日銀関係者が具体的に誰なのかわかりませんが、事前にメディアにリークするのは控えたほうがいいのでは?

8/17、米イランのMoU交渉期限切れ

米国とイランが6/17に署名した戦闘停止・関係改善に関する覚書(MoU)の規定に基づく60日間の交渉期限は、本日(日本時間8月17日/現地時間8月16日)に期限を迎えます。しかし、双方は覚書の履行を進めておらず形骸化しており、期限の延長や本格的な妥協に向けた動きはみられません。期限切れ後に更新・新合意がなければ、軍事的エスカレーションと原油再急騰のリスクが高まり、有事のドル買いが再燃しやすいとの指摘もありますが、もし週明けに合意・延長が発表されれば過度な警戒は無用。

マーケットはあまりこの問題を材料にしていないようにも見えますが・・・

好調な米国株、決算発表一巡、ここからは~

PPIの数字から見えてきた粘着性の高いインフレの一因となっている米株高ですが、S&P500種株価指数構成企業のEPS(1株当たり利益)は前年同期比約50%〜52%増、売上高も約12.3%増となり、コロナ禍からの回復期(2021年第2四半期)以来、5年ぶりの高成長率を記録しています。イラン戦争による原油高の恩恵を受けたエネルギーセクターが前年同期比120%超の爆発的増益となったほか、AIデータセンター需要を背景とした情ITセクターも60%超の増益。決算発表を終えた企業のうち、約85%が市場予想EPSを上回り、過去10年平均の77%を大きく超えるポジティブサプライズとなりました。 ではここからです。企業決算をひと通り織り込んだため、マクロ経済指標と中央銀行の金融政策に市場のエネルギーが集中します。現状では9月FOMCの利上げ折込は低下、年内12月の利上げの可能性が織り込まれた状態です。これまでの利下げのサイクルから利上げに転じるインパクトはそれなりに大きいと思われます。足元では業績が利上げ折込を跳ね返してきたといったところではありますが。。。最も近いイベントとしては今週発表される7月FOMCの議事録の公表と、8/27-29のジャクソンホール会合でしょう。その前日8/26水曜にNVIDIAの決算がありますね。日本株市場、2027年3月期 決算ですが、第1四半期3月期決算企業(金融・SBG除く)の集計では、売上高が前年同期比+12.7%、営業利益は+44.9%、純利益は+73.7%と非常に順調な滑り出しとなりました。特に製造業の営業利益が+75.7%と非製造業(+1.5%)を圧倒しています。イラン戦争下の原油高でも円安が支えとなってきたものと思われます。

アナリストが業績予想を上方修正した割合を示す「リビジョン・インデックス」が足元でしっかりと上昇。また、企業の自社株買い発表金額は年初来累計で20兆円を突破するなど、過去最高ペースの株主還元が続いています。

日銀の利上げペースの加速がここまでの株価上昇に水を差さなければいいですが~。

今週の主な予定

8/21金曜朝の日本7月全国CPI(総合+1.9%/コア+1.8%と、いずれも前月から加速予想)と、水曜未明27:00のFOMC議事要旨に注目。

金曜夕方は8月PMI速報値が仏→独→ユーロ圏→英→米と続きます。ユーロ圏HICP改定値(水曜18:00)と合わせ、ECBの追加緩和余地を測る材料になります。

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