最悪のシナリオは“冬眠に入らない” 札幌の動物園にクマ出没「食べ物が足りていない」柵を乗り越え侵入か
連日のようにクマの目撃が相次いでいます。
札幌の円山動物園にも、柵を乗り越えてクマが侵入した形跡がありました。
札幌市は警戒を呼び掛けています。
11月10日朝の円山動物園。
猟銃を持ったハンターや札幌市の関係者らが続々と園内に入っていきます。
市民が動物たちのありのままの姿を楽しむ場では普段見られない光景です。
動物園の敷地内にある小川沿いで見つかったのは、クマの足跡です。
10センチほどの大きさで、周辺を歩いたような跡でした。
(職員)「クマの痕跡がありまして、臨時休園になりました」
9日は休日ということもあり多くの人でにぎわっていましたが、急きょ臨時休園に。
(客)「ついさっき着いて、帰るしかないな」
(札幌市円山動物園保全・教育推進課 前野良史課長)「(足跡は)ヒグマであることに恐らく間違いないだろう。(フェンスに)ヒグマが開けたとみられる穴が開いていた。また入られたら困るので、電気柵と監視カメラを設置して対応する」
10日の痕跡調査の結果、動物園の西門周辺などで複数の足跡が見つかりました。
さらに、クマは動物園の柵を乗り越えて侵入したとみられることも新たに分かりました。
この影響で、動物園に隣接する円山公園の一部や自然歩道が2週間ほど閉鎖されることが決まったほか、近くの札幌市立大倉山小学校や宮の森中学校では10日は臨時休校となりました。
なぜ動物園にクマが出没したのでしょうか?
(北海道大学獣医学研究院 坪田敏男教授)「彼らは非常に嗅覚が優れているので、動物園の飼料・えさのにおいが外に漏れたのが原因の一つだったのかもしれないですね」
さらに午前5時すぎにも、北海道神宮の南一条駐車場付近でクマのような動物が目撃されました。
(地域住民)「朝晩の散歩はやめています、控えています」
10月23日にはー
(山本記者)「子グマが2頭います。何かを食べている様子もうかがえます」
西区の公園に2頭の子グマが確認されるなど目撃が相次ぎました。
道内で初めての「緊急銃猟」が実施され、駆除されました。
連日のように相次いで目撃されるクマ。
“人との距離が明らかに近づいている”と専門家は指摘します。
(北海道大学獣医学研究院 坪田敏男教授)「ちょうど今、冬眠に入るための準備をしているところで、食べ物が足りていないと思う。人里に出てきていろんなものをあさっているんだと思います」
先週金曜日、浦河町野深付近の道路で撮影された映像です。
大きく口を開けながら車に突進してきたのは、体長およそ1.5メートルのクマ。
車のフロント部分にはクマの爪痕が確認されます。
運転手が車をバックすると、クマは逆方向へ立ち去ったということです。
さらに、小樽市内でも8日、小樽市立桂岡小学校の校門前でクマが目撃されました。
敷地内でクマの足跡も確認され、桂岡小学校と銭函中学校は10日、臨時休校になりました。
人の生活にも影響が出ている現状に専門家はー
(北海道大学獣医学研究院 坪田敏男教授)「最悪のシナリオとしては、12月に入っても冬眠に入らないクマがもしかしたらいるかもしれないということで、しばらくはクマの出没には警戒をしなくてはいけないだろうなと思っています」
クマがいつどこで現れてもおかしくない現状に、私たちも警戒の糸を切らしてはいけません。