塾なし、3年まで部活で東大へ 定員割れ公立高生を導いた勉強法
定員割れする地方の県立高校で、18年ぶりに東京大学の合格者が誕生した。
その生徒は、1年の時に東大進学を宣言。ただ、過疎化が進む地域で、近くに大手の予備校などない。学校と自宅で勉強を重ねた。
部活も手を抜きたくないと、3年の秋まで続けた。それでも現役合格を果たした。
要因は何だったのだろうか。
担任への報告の電話で涙
「『落ちた』と感じ、受験会場の机に突っ伏して、もう1年(浪人)かと思っていました」
千葉県立安房(あわ)高校から東大理科2類に進学した島袋日向(しまぶくひゅうが)さん(18)は、東大2次試験を終えたときを振り返って苦笑した。
だが3月10日の前期試験合格発表日。インターネットの合格者掲示を見ると、自分の受験番号が表示されていた。
隣で見ていた母親や彼女が喜ぶ傍ら、自身は理解が追いつかなかった。
担任の安藤好靖(よしやす)教諭(44)に電話して「合格しました」と伝えたとき、自然と涙があふれた。
安藤教諭が回想する。
「普段は論理的な島袋くんが泣いて、初めて喜びを爆発させた瞬間でした」
「家で勉強しろと言われたことない」
房総半島南部の千葉県鴨川市で育った。両親は教育熱心なタイプではない。「家で勉強しろと言われたことは一度もなかった」という。
地元の伝統校である安房高(館山市)は地域の人口減少に伴って志望者が減り、定員割れする年もある。2000年ごろまでほぼ毎年1人は東大合格者が出ていたが、07年度を最後に途絶えていた。
再興を図るため、23年度に特進クラスを導入した。島袋さんはその1期生だ。
学校説明会で熱意を感じ、遠方の進学校ではなく、あえて安房高で頑張ろうと決意した。
入学してすぐ、クラスメートの前で宣言した。
「東大理科2類に行く」
生物に興味があり、日本一の大学に行きたいと目指した。
ただ、高校入試の成績は500点満点中390点。安藤教諭は「東大などの難関大学に行くような子は450点前後は取る」といい、その水準から離れていた。
都会のように予備校や家庭教師などが充実しているわけではない。「高校の授業や問題集が中心で、特別な勉強はしていない」と島袋さんは明かす。
しかも、陸上部に所属していたため、授業以外の学習時間は、2年まで平日2時間程度だった。3年の夏休みは…