ロシアの人工衛星、許可なく他国の衛星に異例の接近
ロシア製の人工衛星が異例の動きを見せ、商用の地球観測衛星に1.6キロ足らずの距離まで接近した可能性があることが分かった/s2a systems
(CNN) ロシア製の人工衛星が異例の動きを見せ、商用の地球観測衛星に1.6キロ足らずの距離まで接近した可能性があることが分かった。この地球観測衛星は、ウクライナなどの国々に国家安全保障関連のサービスを提供するために利用されている可能性がある。
中心部に見える明るい点が観測衛星「ICEYE-X36」。「コスモス2612」が近距離で追尾している/s2a systems
「コスモス2612」と呼ばれるロシアの衛星が接近した具体的な意図は明らかになっていない。宇宙ごみや地球周回軌道上の活動を追跡する軌道監視サービス企業レオラボスは声明で、この動きは「ランデブー・近接運用(RPO)」と呼ばれる、軌道上で2機の宇宙機を接近させる操作と一致すると指摘した。
レオラボスは今回の動きについて、継続的な監視が必要だとしている。
宇宙空間では2機の宇宙機のランデブーやドッキングは日常的に行われている。しかし、天体物理学者で宇宙アナリストのジョナサン・マクダウェル氏はSNSで、コスモス2612の行動は宇宙機が許可なく別機に接近した初めての事例となる可能性があると指摘した。
接近された観測衛星「ICEYE-X36」は、米国やフィンランドのほか欧州やアジアの複数の国に拠点を置く多国籍企業ICEYEが運用している。
考えられる目的
合成開口レーダー(SAR)技術を使用するICEYEの衛星群は、ウクライナ軍の支援に利用されてきた。同社とウクライナの協定拡大に関する1月のニュースリリースによると、衛星群は「ウクライナ軍が戦術的な時間軸で継続的に状況を認識」できるよう支援している。ただし、ICEYE-X36が具体的にウクライナ軍の作戦支援に使われていたかどうかはすぐには明らかにならなかった。
英王立防衛安全保障研究所(RUSI)が6月に公表した報告書によると、ロシア軍の宇宙機がICEYE衛星への接近を図っていた兆候は5月から現れていた。当時、ロシアの衛星4基はICEYE-X36に合わせるように軌道を調整していたという。
コスモス2612は10月15日、ICEYE-X36に急接近。16日未明までに両機の距離は350キロから5キロ未満にまで縮まった。
レオラボスが19日に明らかにしたところによると、その後コスモス2612は距離を保つような動きを見せ、週末を通じて「わずかに調整」し「近い相対位置を維持」していた。
同社の分析によると、今回の事象では一時約500メートル以内まで接近したとみられる。
19日までにコスモス2612はICEYE-X36から離れ始めた。ロシアの衛星が示した軌道操作能力は、別の宇宙機を「検査、特性把握、追尾するほか、場合によっては妨害する」ために利用される可能性があるという。
レオラボスは「今回の事象や示された能力は敵対的な意図を立証するものではない」とする一方で、「情報収集、軌道上での検査、威圧的なシグナルの発信、妨害、あるいは将来の対宇宙作戦に向けた準備を支えうる能力を示している」と述べた。