【大河ドラマ 豊臣兄弟!】柴田勝家役・山口馬木也さんに聞く“北庄城の別れ”「お市様との食事シーンで幸せを感じ、次世代にバトンを渡そうと思った」「立ち回りでは、宮﨑さんに守られているような感覚に」
「豊臣兄弟!」で柴田勝家役を演じている山口馬木也さんにお話を伺いました。ドラマの序盤から、迫力ある立ち回りでファンを魅了してきた山口さん。第33回では、北庄城で市(宮﨑あおいさん)と手をつないだまま戦い、最後は天守から身を投げる展開となりました。現場では、不思議な体験をしたと山口さんが語ってくれました。(場面写真はNHK提供)
勝家は、誰かのためなら動く人
――第32回で放送された、前田利家(大東駿介さん)との一騎打ちシーンは迫力がありました。
山口さん:あのときは、結構長い立ち回りをしました。その前に、利家から「天下人になってほしい」と言われていたので、剣を交えているうちに複雑な感情が生まれてきました。
――天下人になる気持ちはなかったと思いますか。
山口さん:勝家は、天下人になる欲がない人だと思いますが、誰かのためなら動く人です。利家から天下を取ってほしいと言われたときは、気持ちが一瞬揺れたと思います。自分が天下を目指せば、利家や佐々成政(白洲迅さん)のためになるから。でも、やはり勝家自身は、“織田家家老の柴田勝家”であるという強い意志を持っていました。
市の手料理を食べ、心境が変化
――北庄城のシーンについて、収録の様子を教えていただけますか。
山口さん:まず、お市様が作ってくれた料理を食べるシーンを撮りました。生まれて初めてお市様が料理を作るので、まずいという設定でしたが、僕はお市様が作ってくれる料理なら、勝家はおいしいと感じるに違いないと思い、料理担当の人にもその気持ちを伝えました。結果、絶妙な味にしてくれて(笑)、芝居がしやすくなりました。その食事シーンでは、宮﨑さんからも「勝家の愛を感じた」と言ってもらえて、僕自身、すごく幸せを感じました。
――勝家の心境はどうだったと思いますか。
山口さん:最初、勝家を演じるときは、最後まで最強の“老害”でいてやろう(笑)と思っていたのですが、お市様の手料理を食べて幸せを感じ、自分はもう前線に立つ人間ではない、次の世代にバトンを渡さなければいけないという心境になりました。この先の世を若い人たちに作ってもらうために、最後まで老害になろうと思っていたのかもしれません。
――食事の後、市を連れて戦うシーンはいかがでしたか。
山口さん:その前段階で、初めて勝家は自分からお市様の手をつないだのですが、監督から「この手を勝家は離したくないと思っているはずだから、このまま立ち回りできないか」と提案されました。狭い空間で、手をつないだまま立ち回りするのは初めての経験で、宮﨑さんをケガさせないよう守らねばと思いました。でも芝居を始めたら、お市様を守っているつもりが、僕が宮﨑さんから守られているように感じたのです。不思議な体験で、自然な感情で芝居ができました。宮﨑さんのおかげです。
身を投げる展開に驚き
――勝家と市が身を投げる展開は驚いた視聴者も多かったと思います。脚本を読んで、いかがでしたか。
山口さん:切腹ではなかったので、驚きました。なぜ二人が身を投げようとするのか、二人の心がどう動くのか、脚本を読んだ時点では消化できなかったので、現場で発見しようと思いました。勝家が死ぬ場面で走馬灯を見たいと思い、その材料集めに福井を訪れたことがあります。勝家ゆかりの地を回り、勝家とお市様のお墓のある西光寺さんにも行きました。この場所に、勝家はずっとお市様と一緒に眠っているとわかったとき、二人で身を投げられると思ったのです。
――宮﨑さんとの共演はいかがでしたか。
山口さん:僕の家族全員、宮﨑さんが主演された大河ドラマ『篤姫』がすごく好きだったので、初めてお会いしたときは「うわぁ宮﨑さんだ」と思って緊張しました(笑)。そんな方と添い遂げる役をいただけてうれしかったですし、胸を借りるつもりでお芝居しました。
小一郎と秀吉を嫌いになるための“秘策”
――仲野太賀さん、池松壮亮さんとお芝居されて、いかがでしたか。
山口さん:仲野さんは、お芝居で人を感動させる俳優で、一緒にお芝居をしていると心を射貫かれます。エネルギーを感じますし、人柄もすばらしいです。池松さんもすごくいい方で、いつもみんなのことを考えているのが伝わってきます。そんな二人が演じる兄弟を、どうやったら憎めるかと考えたのですが、僕は二人の才能にすごく嫉妬していたので、その感情を利用しようと思いました。こんなに心を打つ芝居をするなんて腹が立つな(笑)という思いを、役作りに生かしました。
――織田信長を演じた小栗旬さんはいかがでしたか。勝家が派手に蹴られたこともありました。
山口さん:役者としてもカリスマ的な小栗さんの信長は、最初から信頼しきっていました。織田家臣団は、みんな一度は信長に蹴られたいと話していたので、僕が蹴られたとき、みんなから「いいな~」と言われました(笑)。
――およそ1年という長い期間、勝家を演じていかがでしたか?
山口さん:勝家として長い間現場に居続けると、身体が変わってきます。役に染まり、想像していなかった気持ちもわいてきました。感じるだけでお芝居ができて、役に近づいてきたのかなと自分でも誇らしく思いました。
山口馬木也(やまぐち・まきや)さん 1973年生まれ、岡山県出身。映画、テレビ、舞台などで幅広く活躍。映画では『雨あがる』、『告白』、『悪の教典』など。『侍タイムスリッパー』では主演を務める。連続テレビ小説『ファイト』『まれ』、大河ドラマ『北条時宗』『八重の桜』『麒麟がくる』『鎌倉殿の13人』などに出演。
大河ドラマ「豊臣兄弟!」 NHK総合 日曜 夜8時00分~ 他 【作】八津弘幸 【音楽】木村秀彬 【語り】安藤サクラ
【出演】仲野太賀 池松壮亮 ほか