関心を集めるオーストラリア製無人潜水艦、米国に続きドイツも取得
豪海軍は超大型無人潜水艦のゴーストシャーク、大型無人潜水艦のスピアトゥース、無人水上艇のブルーボトルで構成された水上・水中無人戦力の本格運用に移行し、米海軍も試験目的でスピアトゥースを取得して注目を集めたが、ドイツ海軍も試験目的でスピアトゥースを取得した。
参考:Speartooth Makes European Debut with German Sale 参考:Zu Erprobungszwecken – Bundeswehr beschafft Unterwasserdrohne Speartooth
豪国防省は4月、Andurilと豪海軍が共同開発した超大型無人潜水艦(XLUUV)のゴーストシャーク、豪C2 Roboticsが開発した大型無人潜水艦(LUUV)のスピアトゥース、豪Ociusが開発した無人水上艇(USV)のブルーボトルで構成された戦力を海洋自律システム部隊=Maritime Autonomous Systems Unitと命名し「これは海軍がより統合され、高度なテクノロジーを駆使した未来戦力に移行する上で重要なマイルストーンになる」「これらのシステムは持続的かつ長距離にわたるISR(情報・監視・偵察)および打撃任務に最適化されている」と発表。
出典:Palmer Luckey
要するに「豪海軍は水上・水中無人戦力の試験的運用から正式部隊による本格運用に移行した」という意味で、数十隻規模で調達するゴーストシャークは世界初の量産型XLUUVであり、最大航続距離は3,700km以上、最大積載量は約11.4m³、魚雷用弾頭や各種センサーなど搭載ペイロードを変更可能な自律型水中エフェクターのコッパーヘッド、自律型海底監視ネットワークシステムのシーベッド・セントリーを運用でき、有人潜水艦の代わりに軽魚雷や重魚雷を使用した対潜戦が可能な無人潜水艦だ。
豪C2 Roboticsのスピアトゥースも全長8m、航続距離2000km、長さ2.7mのペイロードベイを備え、長時間の水中作戦に対応し、大量生産と大量配備を可能にする革新的なコスト(推定25万ドル)を実現しているらしいが、Ghost Sharkほど情報が公開されていないため対潜戦が可能なLUUVなのか、ISR向けのLUUVなのかは分からない。
出典:C2 Robotics
同社は2025年10月「我々は豪国防省の支援を受けて国外でスピアトゥースのデモンストレーションを実施してきた」「潜在的な顧客はスピアトゥースが『箱から取り出せばすぐに使えること』に感銘を受けた」「顧客名を明かすことは出来ないがスピアトゥースの初輸出契約を確保した」と発表していたが、今月1日「我々は米海軍に初めて納入されるLUUVとしてスピアトゥースの運用開始式典を行った」「スピアトゥースは情報収集、監視、偵察、攻撃といった任務において拡張性とコスト効率に優れた水中能力を提供するよう設計されている」と発表し、顧客名を明かすことが出来なかった初輸出契約の相手は米海軍だった。
この式典に参加した米海軍のジョシュ・フェイガン大佐も「実戦配備の準備が整った無人潜水艦のスピアトゥースを確認した」「これは単なる構想ではなく実海域に作戦投入されている実機であり、さらなる能力向上に向けた開発も進められている」「オーストラリアが海洋無人・自律システム分野の開発を全速力で推し進めていることが明確に見て取れた」「革新的な設計を真の自主防衛能力へと具現化させている」「意欲的で熟練した現地のエンジニアや技術者たちとの交流も素晴らしいものだった」「豪独自のソフトウェアとハードウェアがオーストラリアの防衛を担っていくのだ」と言及。
出典:C2 Robotics
20日には「スピアトゥースが欧州でデビューした」「LUUVのスピアトゥースをドイツに輸出した」と発表、独ディフェンスメディアのhartpunktも26日「C2 Roboticsは欧州のパートナー企業=Euroboticsと協力してスピアトゥースをドイツに輸出したと発表したが、顧客や購入台数に関する情報は一切明らかにしていない」「連邦軍装備・情報技術・運用支援庁も確認したところドイツ連邦軍が試験目的でスピアトゥースを1隻調達したと判明した」と報じた。
C2 Roboticsのトロイ・ダガン最高経営責任者は「Euroboticsとの提携によってNATO加盟国にスピアトゥースを提供できることを非常に嬉しく思う。NATO加盟国は自らを取り巻く戦略的環境がますます不確実性を増していること、そしてシーレーン防衛がもはや選択肢の一つではなく、主権およびルールに基づく秩序の維持に不可欠な要素であることを認識している」と、Euroboticsのラース・ザンダー最高執行責任者も「スピアトゥースはSmall, Smart, Manyの原則に基づいて開発され、今回の発表はNATO加盟国がこの基本概念へと急速にシフトしていることを裏付けている」と言及。
C2 Roboticsも「近年の紛争において自律型システムは支援役ではなく主戦力となりつつある」「逆に高価な有人システムは低リスクやニッチな任務へと役割を移行しつつある」「潜水艦の契約、開発、建造に至る極めて長期なスケジュールが深刻な予算超過と調達数削減を引き起こしている」「さらに維持管理コストや整備負担の増大が稼働率の低下を招き、深刻な戦力ギャップを生じさせている」「スピアトゥース導入を検討する同盟国が増加する中、搭載ペイロードおよび開発能力を同盟国間で共有すれば新しい能力獲得までのタイムラインを短縮するだけでなく、任務の幅を広げ、コスト効率を飛躍的に向上させることができる」と述べている。
米海軍とドイツ海軍の採用はスピアトゥースの能力をテストするためのもので、まだスピアトゥースを自軍の無人戦力として本格導入するという意味ではないが、豪海軍が本格導入して米海軍とドイツ海軍も試験導入しているという実績は輸出市場における優位性に繋がり、もし米海軍とドイツ海軍が本格採用すれば市場におけるC2 Roboticsの立場は盤石なものになるだろう。
出典:C2 Robotics
ちなみにhartpunktはスピアトゥースの多用途性について「この水中トラックは最大1トンのペイロードを搭載できる2つのペイロードモジュールを備えている」「このモジュールは必要に応じて交換でき、しかも交換に必要なのは約20本のネジを緩めていくつかのコネクタを抜くだけだ」「スピアトゥースの設計は特定任務を想定しておらず、このシステムを特定のカテゴリーに分類するのは難しい。センサープラットフォームとして特定のエリアを監視することも、機雷を敷設して水域を封鎖することもできる」と評している。
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※アイキャッチ画像の出典:C2 Robotics