米国、ガスプロムバンクなどロシア約50行を制裁-経済の締め付け強化

Daniel Flatley

  • ガスプロムバンク、ロシアの軍装備調達や兵士への支払い支援か
  • 欧州のロシア産ガスへの依存度低下で、例外扱いの必要性薄れる

米国はロシアの主要金融機関であるガスプロムバンクに制裁を科した。退任が近づくバイデン大統領は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して経済的な締め付けを強めている。

  バイデン政権は以前、世界のエネルギー市場が動揺する可能性を懸念してガスプロムバンクへの制裁を見送っていた。だが、停戦交渉を推進すると見込まれるトランプ次期大統領の就任を前に、ロシアをくじき、ウクライナを手助けするあらゆる措置を米国は打ち出そうとしている。

  イエレン財務長官は声明で「本日の制裁は、これまで制裁の対象とされていなかったロシアの大手銀行と、その他の金融機関、政府当局者を狙うものだ。ロシアの戦費調達能力をいっそう後退・低下させるだろう」と説明。「この包括的な行動でロシアは米国の制裁逃れや戦費調達がさらに難しくなる」と続けた。

  21日発表された制裁では、国際金融システムにアクセスを持つロシアの約50行に加え、当局者15人程度が対象になると、米財務省外国資産管理局(OFAC)が発表文で明らかにした。

  ガスプロムバンクはロシアがウクライナ侵攻に使用する軍装備や資材の調達で決済を支援しているとして、非難されている。ロシア軍兵士の賃金やボーナス、戦死した兵士の遺族に対する補償の支払いを行っている疑いもある。

  同行については、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、英国などは既に制裁対象としている。

  米国は欧州諸国がロシア産ガスに支払いを行えるよう、ガスプロムバンクへの制裁を控えていた。だが、ロシアの供給に対する欧州の依存度が低下したため、同行を例外としておく必要性は薄れていた。

原題:US Sanctions Gazprombank and Russian Banks Over Ukraine War (1)(抜粋)

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