「彼のためならやりたい」 水町泰杜、「ユニバ二刀流」の舞台裏/上

【サントリー-名古屋】第1セット、レシーブする名古屋の水町泰杜選手=Asueアリーナ大阪で2025年4月26日、長澤凜太郎撮影

 前代未聞――。その発表に多くの人が驚き、胸を高鳴らせた。

 バレーボール男子日本代表の水町泰杜選手(23)が、ドイツで16日に開幕する大学生世代の国際総合大会「世界ユニバーシティー大会」で、インドアとビーチバレーの両方に出場するのだ。

 秋から春にかけてはインドアのSVリーグ・ウルフドッグス名古屋で、夏場はビーチバレーのトヨタ自動車で活躍してきた水町選手。異例の「二刀流」が海を渡るまでの舞台裏に迫った。【玉井滉大】

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「不思議な力を持っている」

 「必ず、彼を中心にチームを作ろうと思っていました」

 世界ユニバでインドアの男子代表を率いる日本体育大の山本健之監督(55)はそう明かす。

 以前は「ユニバーシアード」と呼ばれていた大会に出場できるのは、大学か大学院に在学中、もしくは前年に卒業し、年齢の条件を満たす選手だ。

 日本は前回11位。今回は上位進出を目指し、前回大会の経験者を中心に選出する――。

 その構想の「ど真ん中」にいたのが、水町選手だった。

 「昨季のSVリーグでも最優秀新人賞を取りましたし、攻守で非常にバランスの取れた良い選手。そして、彼がコートにいると周りも生きるんですよ。個の能力が高いだけでなく、周りも引き上げてくれるような不思議な力を持っています」

 ところが、今年に入り、メンバーを選考していく中で驚きの情報が入ってきた。

 山本監督は苦笑いしながら明かす。

 「所属チーム(トヨタ自動車)から『実はビーチの方でも……』と言われまして」

 ビーチバレー界では、昨夏の段階から水町選手を世界ユニバの代表に選出する構想があったという。

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