欧州派遣軍がロシアの攻撃受ければどうする、米国が詳細要求

米国は欧州諸国に対し、ウクライナに提供する用意のある安全保障の確約の内容および、同国に派遣した軍がロシアの攻撃を受けた場合の対応の詳細を明らかにするよう要請した。

  ブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、欧州の同盟国がウクライナへの安全保障提供と将来のロシア抑止にどのように寄与できるのか、詳細を求めている。

  米国はまた、平和的な解決策の一部として欧州諸国がウクライナに派兵することにどの程度意欲的なのか知りたい考え。その実現に必要だと欧州側が考えている米国の支援や、ウクライナの交渉上の立場を強化するために現時点で欧州に何ができるのかについても、把握したい意向だ。

  非公表の協議内容だとして匿名を条件に語った欧州の外交官によると、トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使を務めるケロッグ退役陸軍中将が月内に欧州当局者と会談し、この問題を協議する見込み。ケロッグ氏はトランプ大統領に選択肢を提示する前に欧州側に情報を求めていると、ブルームバーグ・ニュースはこれまでに報じていた。

  米国政府はコメントの要請にすぐには応じなかった。

トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使、ケロッグ氏

  トランプ政権がロシアのプーチン大統領と自分たちの頭越しに交渉を始めようとしていることに衝撃を受けた欧州の首脳らは17日にパリで会談し、欧州としての対応策定に着手する。米当局者は先週のミュンヘン安全保障会議で、米国の行動の用意には限りがあるとも明言していた。

  ドイツのベーアボック外相は、欧州の対応には新たな大型の防衛パッケージが含まれる可能性があると示唆。「これまでになかった次元の大型パッケージを立ち上げるつもりだ」と、ミュンヘン安全保障会議への出席に際して行われたインタビューで語った。

  一方、スターマー英首相は17日付の英紙テレグラフに寄稿し、必要であれば平和的解決策の一部として平和維持活動のため英国軍をウクライナに派遣すると表明した。

  ポーランドのトゥスク首相はパリに向かう機内で記者団に対し、防衛力強化に真剣になるよう欧州首脳に促すつもりだと述べた。

  「国防費の増額が必要だと示唆する米国側の発言に不快になるのではなく、耳を傾ける価値はある」と指摘し、「ロシアの軍事力に均衡できなければ、ウクライナを助けることはできないだろう」と続けた。

  ただ、将来の平和維持軍の一部としてポーランドが派兵する考えはないとあらためて強調し、派兵を決定する国への兵たん面の支援は行うと付け加えた。

  トランプ政権は欧州の同盟国に対し、ロシアへの圧力強化で欧州が供給し得る追加的な機器や、既存の制裁の執行強化とロシアを支援する第3国の組織を標的とした今後とり得る措置について、回答を求めている。

  米国はまた、ウクライナが欧州連合(EU)加盟に近づくにつれてEU単一市場へのアクセス拡大が認められるのかについても回答を要請した。

  米国が欧州に回答を求めた質問状の存在については、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がいち早く報じた。

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原題:US Asks Europe What Kyiv Peacekeepers Should Do If Attacked (1)(抜粋)

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