東京の新築マンション取引、中国に代わり台頭は… 海外から買う理由

東京・湾岸地域のタワーマンション=2025年12月19日午前9時56分、朝日新聞社ヘリから、東京都中央区、相場郁朗撮影

 国土交通省による初の調査で、東京23区の新築マンションを取得した「国外に住所がある者」を国・地域別に集計すると、2024年は台湾が最も多く、2025年も6月までの半年間で全体の6割を占めた。不動産業界関係者によると中古も含めて人気がある中、台湾の人たちに、日本の不動産はどう映っているのか。

「生まれ変わる気持ちで」日本へ移住計画

 台湾北西部に位置する新竹市。TSMC(台湾積体電路製造)などの半導体産業が集まり「台湾のシリコンバレー」とも呼ばれる。

 市内に住み、海外移住の支援などを手がける女性(32)は、学習塾を経営する夫と日本への移住を考えている。世帯年収は1500万円(300万台湾ドル)ほどで、台湾の平均世帯年収の2倍を超える。

新竹科学園区の近くにある住宅エリア。高層マンションが立ち並んでいる=2024年3月17日、台湾・新竹市、田中奏子撮影

 移住候補は岡山市で、新竹市の友好交流都市という縁で知り、雰囲気が気に入った。すでに岡山市内に中古マンションを買い、今年中に移ろうと思っている。

 足がかりにしようと、2025年には東京・日本橋周辺にある新耐震基準を満たす中古マンション(1K、約20平方メートル、3千万円台)を現金で買った。貸し出し、家賃収入で生活費を得る計画だ。

 夫婦は約2年前、新竹市で2LDK(約60平方メートル)の新築マンションを1億3千万円余りで購入したが、ローン返済が重荷で、手放す覚悟を決めた。「台湾は不動産をはじめあらゆる物の価格が上がり、若者には未来がない。生まれ変わるような気持ちで、やり直したい」と話す。

 一般財団法人「日本不動産研究所」が、世界各都市の高級住宅街における新築マンション価格を比較した2025年10月の調査によると、東京・元麻布を100.0とした場合、台湾の政治経済の中心の台北市内は165.6だった。

 夫婦の知人の富裕層も、日本の不動産取得を考えている。ある医師の知人は「台湾有事を懸念して資産を海外に移したい」、エンジニアの知人は「子どもの教育のために移住したい」と話しているという。

中国・香港に代わり、台湾が台頭

 国交省の調査によると、東京23区で新築マンションを取得した「国外に住所がある者」の登記件数は、2024年は331件だった。内訳は台湾(約32%)、中国(約19%)、米国(約13%)の順で、2025年の上半期は台湾が約62%とさらに勢いを増した。

東京23区の新築マンションを取得した「海外居住者」の国・地域別の登記件数

 コロナ禍前の2018年は515件で、香港(約28%)、中国(約24%)、台湾(約24%)の順だった。中国や香港に代わり、台湾が台頭した形だ。

 日本台湾不動産協会副理事長の林佳慶さん(37)は、中国国内の経済の低迷や、国外への送金規制を挙げ、「中国からの投資が減少したことが顕在化した」と話す。

日本台湾不動産協会副理事長で株式会社KAKEI社長の林佳慶さん=2025年12月11日、栃木県、富永鈴香撮影

 その一方でなぜ、台湾の人の需要は根強いのか。

 不動産仲介会社「信義房屋不…

この記事を書いた人

富永鈴香
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
人権問題、政治参加、表現の自由

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