トランプ政権がさらに「混迷」させる…感染爆発から5年経っても特定されない新型コロナの起源…有力な「容疑者を煙に巻く」暗澹たる理由(現代ビジネス)
新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2)の流行が始まってから5年になる。 日本で初の感染者が確認されたのが2020年1月15日、世界保健機関(WHO)が世界的流行(パンデミック)を表明したのは3月11日、日本で最初の緊急事態宣言が出されたのが4月7日だ。 今も流行は収まったわけではなく、年間の死者数は季節性インフルエンザよりはるかに多い。この先の動向にも不確実性がある。 そんななか、米トランプ大統領の就任で改めてクローズアップされそうなテーマがある。 「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はどこからやってきたのか」──その起源だ。
日本ではほとんど話題に上らないが、欧米では今なお、熱い論争が続いている。 発端となったのが、パンデミック初期に第1期政権にあったトランプ大統領が示した「新型コロナウイルスは中国・武漢の研究所から流出した」という説だ。 この流出説は当初、トランプ大統領の言いがかりにすぎないとの見方が強かった。実のところ、私もそう思っていた。 ただ、その後も疑いはくすぶり続けている。 2024年12月初旬には、共和党が主導する米下院「特別小委員会」が研究所流出説を支持する 最終報告 を公表した。一方、民主党はこれに真っ向から反論する 声明 を出している。 ちょうど同じころ、日本の淡路島では「 次のパンデミックに備える:コロナウイルスの進化、病原性、ウイルス学 」と題した国際会議が東京大学医科学研究所のウイルス学者・佐藤佳さんらの企画で開かれ、中国も含め世界から研究者が集った。その企画委員には論争の渦中にいる中国の女性コロナウイルス専門家も名を連ねていた。 2024年末には、世界保健機関(WHO)が新型コロナの感染確認から5年の節目に 声明を公表 し、改めて中国に新型コロナウイルスの起源を解明できるよう、データの共有を求めた。 2025年1月にはトランプ政権で新たな長官が就任した中央情報局(CIA)が、それまでの見解を覆し、研究所流出説に好意的な 分析 を示している。 本当のところ、新型コロナウイルスは「どこで」「どのように」出現したのか。それを知ることは次のパンデミックへの備えにも通じる。 パンデミックから5年を機に、起源論争の経緯と現状を紹介する。