習近平の大誤算…!高市総理に「寸止め抗議」しかできない2つの深刻事情(ダイヤモンド・オンライン)
高市政権の発足以降、台湾有事への言及や靖国奉納を巡り、日中関係の緊張は一見、決定的な悪化局面を迎えたように見える。しかし、相次ぐ外交的非難や制裁の裏側で、中国は日本企業への融和姿勢を見せている。 本稿では、対日強硬策を徹底できない中国指導部に課された「2つの制約」について詳しく解説する。(北海道大学公共政策大学院研究員 王 彦麟) ● 見せかけばかりの「反日運動」 中国指導部が最も恐れている展開とは 高市早苗首相が国会で「台湾有事」に言及して以降、中国は日本に対し外交的非難を強め、レアアース規制や観光統制といった措置を相次いで打ち出した。 さらに、高市首相が靖国神社の春季例大祭に合わせて供物を奉納したことに対し、中国政府は「断固反対し、厳しく糾弾する」として、日本側に猛烈な抗議を行ったと明らかにしている。 一方、日本政府も2026年版「外交青書」において中国の位置付けを「最も重要な二国間関係の一つ」から「重要な隣国」に引き下げている。 こうした動きは、一見すれば日中関係の明確な悪化、そして中国の対日強硬路線への転換を示しているように見える。 しかし、この理解は本当に現実を捉えているのか。本稿の結論を先に述べれば、中国の「反日」は単純な強硬化ではない。それはむしろ、国内統治・経済・外交の制約の下で精密に設計された「管理された圧力」である。現在の反日運動は見せかけばかりでなぜ腰が引けているのか、中国指導部が最も恐れている展開について詳しく解説したい。
● 南京大虐殺国家追悼式に 習近平は欠席 中国の反日現象は、しばしば「民族主義」の高まりとして説明される。とりわけ尖閣諸島を巡る対立以降、この語はメディアにおいて頻繁に用いられてきた。その前提には、「中国の反日は一貫して強化されてきた」という暗黙の理解がある。 しかし、実際の動きを見ると、この見方は必ずしも妥当ではない。 たとえば2024年6月、蘇州の日本人学校関係者が襲撃された事件では、日本人児童を守ろうとした中国人女性・胡友平が命を落とした。中国政府はその後、胡を公式に「英雄」の肩書を与えて顕彰した。これは単なる表彰ではなく、国家が望ましい行動規範を定義し、社会に提示する性格を持つものである。 また、高市答弁後の2025年11月18日、外務省アジア大洋州局長・金井正彰と中国外務省アジア局長・劉勁松の会談では、中国側は、両手をポケットに突っ込んだままの劉に対して金井が頭を下げる動画を意図的に公開し、強硬な印象を演出した。 一方で劉勁松はその直後、大連を訪問し、日本企業に対し「安心して中国で事業を展開してほしい」と呼びかけている。現地では企業関係者と抱擁を交わす場面すら見られた。 さらに2025年12月13日の南京大虐殺国家追悼式では、習近平の出席が予想されていたにもかかわらず、実際には政治局委員の石泰峰が出席するにとどまり、発言内容も日本を名指ししない穏当なものであった。式典自体も異例の短時間で終了し、新華社の報道も従来の強い対日非難を繰り返すものではなかった。 これらの事例が示すのは、中国の対日言動が単純な感情の発露ではなく、厳密に管理されたものであるという点である。表面的な「反日」の背後には、対日関係と国内世論を同時に制御しようとする意図が存在する。 ● 「排日」の裏で拡大する 日本需要 さらに注目すべきは、中国社会における日本文化・日本ブランドに対する強い嗜好(しこう)と消費需要である。 確かに表面的には、日本関連イベントの中止や、日本を前面に打ち出した商業エリアの改変が相次いでいる。2025年11月には浜崎あゆみの上海公演が中止され、2026年にはONE OK ROCKの上海・香港公演も開催中止となった。また、無錫市では日中交流の象徴とされてきた日本風の街並みが再整備され、日本的な看板や装飾が撤去されている。 一見すると、全面的な「排日」が進行しているかのように見える。しかし実態は異なる。