【特集】特別な思いを胸に 夜空を彩る上桧木内の紙風船上げ 秋田・仙北市

仙北市の小正月行事「上桧木内の紙風船上げ」が10日夜に行われました。五穀豊穣や無病息災などを願い、打ち上げる紙風船。今年は、特別な思いで臨んだ集落がありました。江戸時代の科学者、平賀源内が伝えたといわれ、いまも仙北市西木町・上桧木内地区で受け継がれている「紙風船上げ」。毎年2月10日、さまざまな願いが込められた紙風船が天高く打ちあげられます。地区の8つの集落が保存・継承してきた伝統行事。今年、特別な思いで臨んだ人たちがいました。去年8月19日に降り始めた記録的な大雨。2日間で平年の8月1か月分を超える量の雨が降り、仙北市を流れる桧木内川が氾濫しました。紙風船上げの会場にも多くの土砂が流れ込み、一時、開催が危ぶまれました。それでも。会場からほど近い宮田集落。この集落の紙風船には、毎年、人々に幸福をもたらすとされる七福神が描かれます。住宅などが床上浸水した人が多かった宮田集落。紙風船の数は減らさざるを得ませんでしたが打ち上げへの強い思いを抱いていました。斎藤アユミさん「すごい昔にここも水害があって、で、なか志ま旅館(集落にある旅館)さんの亡くなっちゃったんですけど、中島健さんが『水害あった時こそ盛り上げよう』ってことで風船を復活させた経緯があるらしいんですよ」「健さんの気持ちもくみ取りながら、やりましょって、水害あったからこそやろうって気持ちのほうが多かったですね」一度は歴史が途絶えていた紙風船上げ。しかし、52年前、集中豪雨で被害を受けた上桧木内地区を盛り上げようと紙風船をあげたことがいまにつながっています。さらに今年は、水害のあと寄り添い続けてくれたボランティアへの、感謝の気持ちが。中島星子さん 「水害があったことは大きかったので、その思いってのはけっこう」「(ボランティアが)いなかったら大変なことになってたなと思って、うちなんか特に手伝ってもらったので、ありがたいですね」斎藤雄馬さん「今回知り合ったボランティアの方々も2月10日こういうのあるよーって言ったらぜひ行ってみたいって気持ちも聞けたので、テレビとかそういうのでも見てもらえればうれしいですし、あの人たち元気にしてるなと思ってもらえればいいなとは思って、まずそういう思いでやってる感じですね、今年に関しては」今年の紙風船にはさまざまな願いとともにたくさんの感謝の気持ちがこめられました。準備が進む会場には、うれしい訪問者も。大雨被害のあと、ボランティアとして駆け付けた山形県戸沢村の人たちです。仙北市が戸沢村に紙風船上げを伝えたことから交流が始まったといわれていて、災害が発生した時などはお互いに助け合ってきました。さらに一世を風靡したこともある音楽ユニット、チャゲ&飛鳥のチャゲさんの姿も。去年7月に上桧木内地区を訪問していたチャゲさん。滞在中に書いた紙風船は、奇跡的に大雨被害を免れていました。被害の様子をニュースで目の当たりにして、少しでも力になれればとライブツアーの合間に駆けつけました。新たなつながり。そして、たくさんの感謝の気持ちを込めて。戸沢村の女性「どこでも災害は起こりうることなので、やはりこうみんなが助け合うことが大事なんだなと思います、改めてこう人と人とのつながり、なんかそういうご縁をすごく感じてます」その数およそ50、冬の夜空を彩りました。祭りのフィナーレ。最後に宮田集落が打ち上げるのは、“集落の顔”=七福神の紙風船です。斎藤雄馬さん「やっぱりたくさんいろんな人たちからきょうも久々にお会い出来たりもしたので、そういう形でお礼ができたってこともうれしかったので、ほんとにありがとうございますという気持ちです」「何かあってもわたしも誰かを助けることができればなとも思いますし、自分たちも一歩一歩まだまだ被災というかその痕はあるので、地域も盛り上げていきたいなと思ってます」斎藤アユミさん「いろんな人に支えてもらって、もう、そうですね、生活も上桧木内で継続してできますし、紙風船もみんなのおかげでこうやって無事にできて、本当に本当に感謝でいっぱいです」「今年こそ、もう水害も災害もなくて、もうみんな、上桧木内だけでなくて日本全国のみんなが幸せになれればいいかなってほんとそんな思いです」

穏かな1年になることを願って。夜空に浮かんだ幻想的な光が地域を、そして訪れた人の胸を明るく照らします。

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