「働くほどに損をする日本」はなぜ生まれた?財務省の“増税路線”で日本経済は壊死する。国会議員・島田洋一氏が警鐘(週刊SPA!)
ロシアとウクライナの停戦をめぐるアメリカとロシアとの駆け引き、ガザ再建の問題、またアメリカによる相互関税。この関税を日本は24%課せられ、これによって日経平均株価が急落する事態に――。 2025年1月にトランプ大統領の就任によって、世界ではさまざまな混沌とした事態が起きている。 トランプ政権に精通しており、最近『世界は利権で動いている』を上梓した国会議員の島田洋一氏によれば、「世界は『利権』で動いている。それは一つの国の内部で激しいせめぎ合いを生み、国家間の闘争やテロ勢力との戦いなどにも絡んでくる。 天然資源や漁場をめぐる『領土利権』、補助金拡大を求める『再生可能エネルギー利権』、常に増税、天下り先確保を狙う財務省に代表される『官僚利権』などと枚挙にいとまがありません」と世界の情勢の実態を端的に指摘する。 となると、冒頭の事態は、収束するどころか、まだまだ続くということなのかもしれない。 一方、日本経済に目を向けてみると、物価の高騰、実質賃金のマイナスなど、景気のいい話は一向に聞こえてこない。そこで、財務省の増税路線も一因という島田氏に、日本経済がなぜこのように低迷してしまったのかについて、鋭く切り込んでもらった。 (本記事は、『世界は利権で動いている』より一部を抜粋し、再編集しています)
――ずばり! 日本の経済成長のための方策についてはどのようなものがいいのですか? 島田洋一氏(以下、島田):国を強靭化し、一般庶民の生活を底上げするには、経済を健全なかたちで成長させねばなりません。そのための王道は、減税と規制改革を通じて経済を活性化させることです。 税率を下げても、それが経済成長につながれば、財政的にも自然増収が生じます。減税と軍備の強化は両立します。米国のレーガン政権が実証したとおりです。 しかし、減税には財務省を裏の司令塔として大きな抵抗があります。 ――財務省が所管する税金であるガソリン課税が物議を醸しだしています。そもそもガソリン課税の実態と問題点はどのようなものなのでしょうか。 島田:日本の場合、安倍首相後の自民党は完全に財務省のコントロール下にあります。たとえば、ガソリン税です。これは近年国際的に、「地球温暖化対策」といった美名のもとに提示されることが多いです。 「ガソリンを消費すると、その分炭素の排出が増えて地球に害をもたらす。気候変動危機が進行する中、税率を上げてガソリン消費を抑えるべきだ」といった理屈で増税が正当化されます。「気候変動対策という国際的義務を果たすための増税」というわけです。 日本の場合、ガソリンに掛かる税金は、石油石炭税、ガソリン税本則分、ガソリン税上乗せ分(旧暫定税率)、消費税から成っています。 このうち「上乗せ分」は、法律上、全国平均でガソリン価格が3カ月連続で160円超となれば課税停止することになっていますが、停止措置を「凍結」して下げない「違法状態」を続けてきました。 加えて、ガソリン消費税は、上記の諸税を含めた「ガソリン代」全体に掛ける仕組み(税金に税金を掛ける二重課税)となっていて、そもそも税理論の基本に反しています。 近年、ガソリン自体の価格が高騰し、ガソリン減税どころか、「課税停止」すべき上乗せ分の増税を続けている上に、消費増税までしている状態です。ふざけ切った話というほかありません。 減税でガソリン価格を下げれば、物流コストが下がり、その分、物価全般を低下させ、間違いなく消費が活発化して経済成長につながります。それゆえ日本保守党は、「ガソリン減税で物流コストを下げ、経済を活性化させよ」と主張してきました。