米国が最大の敗者に、トランプ関税は米資産に他国以上のダメージ
- 投資家は貿易戦争から勝者が生まれるとは考えていない
トランプ米大統領による世界貿易体制の改革は、大統領が追加関税を課した多くの主要経済国の資産よりも、米国の資産に打撃を与えている。
米株価指数先物は2日の市場終了後にトランプ氏が大規模な一連の関税を発表したことを受けて、4%以上急落。ドル指数も大きく下落した。
他の地域への影響はそれほど極端ではなく、アジア株の指標は、一時1.7%下落したが回復。欧州株先物は2.4%安となった後下げ幅を縮めた。
世界の幅広い市場で株価が下落したことは、投資家が貿易戦争から勝者が生まれるとは考えていないことを示している。米国自体が、トランプ氏の保護主義政策による最大の犠牲になる可能性も示唆される。
シンガポールのメイバンク証券の機関投資家向け株式セールス・トレーディング責任者ウォン・コクフン氏は「米国例外主義から米国疎外へと物語は変わりつつある」と述べた。
トレーダーが関税の経済への影響に備える中、3日はドルにとって今年最悪の1日になろうとしている。円は対ドルで1.5%上昇し、ユーロは1%以上上昇。10年物米国債利回りは昨年10月以来の水準に低下し、ドルの下落にさらに拍車をかけた。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の外国為替戦略責任者レイ・アトリル氏は「関税に関するニュースとそれに関連した米国株の一段の下落によって米国の成長懸念が深刻化したことで、伝統的な安全資産であり準備通貨であることによるドルへの支援が失われた」と分析した。
関税発表は、今年既に低迷していた米国株へのさらなる圧力となる。トランプ氏の政策がインフレをあおり米経済のリセッション(景気後退)の可能性を高めることを投資家は懸念している。
関税発表までに、S&P500種株価指数は年初来で3.6%、ナスダック100指数は7%下落していた。
シティグループの米株戦略責任者スコット・クロナート氏は、発表された関税は「消費者および企業心理の悪化」リスクを高め、たとえ最終的に課税が撤回されたとしても影響は残る可能性があると指摘した。シティは米株の見通しを下方修正するだろうと付け加えた。
原題:US Emerges as Biggest Loser in Markets From Trump’s Tariffs(抜粋)