「下半身だけの死体が大量に」 韓国発の日本語動画で広まるデマ
10月下旬以降、日本語のユーチューブや交流サイト(SNS)上で、「韓国で下半身だけの死体が多数発見されている」との情報が拡散している。発信源は日本語が話せる複数の韓国人ユーチューバーで、再生回数が100万回を超える動画も多くある。
情報には根拠がないが、コメント欄にはうのみにした日本人とみられる人々の投稿が相次いでいる。拡散している背景には何があるのか。
▽主な内容・情報が独り歩きした経緯は・偽情報を信じる日本人
・韓国から輸出される「嫌中」
「下半身だけの死体が37件発見されている」。96万人の登録者を持つ、韓国人ユーチューバーの男性は10月下旬、「最近ビザなしで韓国に入国した犯罪者中国人たちの殺人と臓器売買問題がやばい」と題した日本語の動画を投稿した。韓国が9月下旬に団体旅行客を対象に中国人のビザ免除措置を導入して以降、「誘拐、失踪、殺人が多発している」と根拠なく述べた。8万人の行方不明者が出ているとも主張した。
下半身だけの遺体については「現役検事」を名乗る男性の真偽不明の書き込みだけを紹介した。その他も、根拠となる統計や情報源を正確に提示しなかった。
警察は否定も拡散続く
ユーチューブの内容はX(ツイッター)やスレッズなどのSNSで引用され拡散した。
動画には日本語で「韓国に行くのが怖くなった」「日本では報道されない情報をありがとう」「これをうそと言っている人は日本人になりすました中国人かもしれない」などのコメントが相次ぎ、在韓日本人などから「フェイクニュースだ」と指摘する声が出ていた。
韓国警察関係者は毎日新聞の取材に対し、「37の遺体が確認されたことはない。ビザ免除以降、誘拐や殺人、行方不明が急増している事実もない」と否定した。「ビザ免除は指定の旅行会社を通じて事前に登録した団体観光客だけが対象だが、まるで中国人全員がビザ無しで入国しているように伝えているのもおかしい」とも話す。
独り歩きする情報
ではなぜ「下半身だけの遺体」の情報が独り歩きしているのか。
ビザ免除が始まる前の8…