耐火ポーチ「BOUKA」(防火)を導入! モバイルバッテリーの発火に備える

 ここ数年、モバイルバッテリー関連の火災や発煙事故が相次いでいる。充電中に突然発火するケースだけではなく、持ち歩いている最中に内部でショートが起きた例もあり、ニュースを見て「他人事ではない」と感じた読者も多いだろう。

 メーカーによるリコール告知も頻繁に出ているが、実際の返却率は高くないとされ、潜在的な危険は世の中に大量に残っているのが実情だ。

 そのような状況の中、筆者が先月の定例・秋葉原回遊中に見つけたのが“耐火ポーチ「BOUKA」”。モバイルバッテリーを安全に持ち歩くためのアイテムとして店頭に置かれていたもので、ちょうど自衛手段を探していたタイミングと重なり、即購入した。

 価格は980円。簡易ながら、今の時代にマッチした“防災ガジェット”として紹介する価値は十分にあると感じた。

 パッケージには「UL94耐火試験基準をクリア」とあるが、難しく考える必要はない。UL94とは端的に言えば、“火を近づけたとき、どれだけ燃え広がりにくいかを評価した通信簿”のようなものだ。

 評価のポイントは「火を当ててもすぐに燃え上がらない」「炎が周囲へ移りにくい」「燃えカスの落下で周囲に引火しにくい」といった“燃えにくい性質を持つかどうか”。

 つまりUL94対応素材は、一般的な布やビニールケースよりも、延焼を遅らせ、被害を大きくしないための“時間稼ぎができる素材”と理解すれば十分である。ただし、絶対に燃えないわけではない点は押さえておきたい。

 BOUKAの内側は銀色のラメ素材で、一見すると保冷バッグのように見える。しかしその実態は、「ガラス繊維ベースの耐熱布」、「難燃シリコン/アルミ層でコーティングされた耐火素材」であり、見た目は似ていても構造と目的はまったく異なる。

 銀色の内側は放射熱を反射する性質があり、外側は難燃処理されたガラス繊維でできているため、炎や高温ガスの“初撃”を抑え、周囲への燃え移りを遅らせる働きを持つ。消防士の耐熱服やLiPoバッテリー用のセーフティバッグにも通じる設計思想だ。

 以前紹介した“圏外ポーチ”は通信を遮断するためのガジェットだったが、今回のBOUKAは火と熱の拡散をどう抑えるかに特化した製品である。目的は違っても、「普段は普通のポーチとして使え、緊急時だけ特性を発揮する」という点で共通している。こうした“平常時と非常時を兼ねるガジェット”は普段の生活の中で使いやすいアイテムだ。

 BOUKAは比較的コンパクトなため、収納に向いているのは薄型万mAhクラスまで。大きめの2万mAh級パワーバンクは入りきらないか、入っても密閉度が高くなりすぎて逆に熱がこもりやすい。より大きなサイズの防火バッグが必要な場合は、筆者が以前から使っている「LIPO GUARD」のような大きなキャパのある製品が適しているだろう。

 BOUKAには、実用的でメリットが大きい使い方がある。それは、モバイルバッテリーをBOUKAポーチに入れ、ベルクロの隙間からUSBケーブルだけを外に引き出してスマホを充電する方法だ。

 この使い方の良いところは、万が一、バッテリーが暴走しても炎の飛び散りや火の粉が外に出にくいため、バッグの中などでの延焼を抑えられる。高温ガスがスマホや紙類に直接当たらない。裸でモバイルバッテリーを持ち歩くより“はるかにマシ”という点だ。

 ただし、放置充電が安全になるわけではない。あくまで「何もしないより安全に近づける」ための方法であり、安全そのものを保証するものではない。

 モバイルゲーマーがバックパック内部にバッテリーを入れ、ケーブルを引き出してゲームしながら充電するスタイルでも応用が効くだろう。

 BOUKAはモバイルバッテリーだけでなく、スマホやケーブル、USBメモリなどの小物をまとめて入れておける。耐火金庫のように長時間の高温に耐えるわけではないが、「バッグの中で延焼する時間を確実に伸ばす」という意味では実用性が高い。旅行時や外出時の“持ち出し用ミニケース”としての使用も現実的だ。

 耐火ポーチ「BOUKA」は、モバイルバッテリーやスマホの発火・延焼という“見えにくいリスク”に対し、個人が手軽に導入できる安価な防災アイテムである。とはいえ、UL94の表記や耐火素材だからといって過信するのは危険だ。

 今後はより安全性の高いナトリウムイオンバッテリーなどの次世代技術が普及していくだろうし、各メーカーのリコール情報を確認する習慣も不可欠になってくる。PSEマーク付きの製品であっても事故例が存在する以上、認証マークだけで安全を判断するのはもはや難しい。

 重要なのは、自分でリスクを理解し、必要な備えを日常に取り入れることだ。BOUKAは、その“備えの一手”として導入しやすい現実的で価値のある製品である。バッグの中の安心度を底上げしてくれる存在ではあるが、繰り返すように道具への過信は禁物である。

商品名 - 実売価格 耐火ポーチ BOUKA(防火) - 980円

関連記事: