米シカゴ連銀総裁、関税導入を回避すれば利下げの余地が生まれる
米シカゴ連銀のグールズビー総裁は、貿易政策を巡る対立が解消すれば、米経済は関税導入前の軌道に戻す可能性があり、金利を引き下げる余地が生まれるとの見方を示した。
グールズビー氏は29日、「この問題の最終局面で、関税が導入されないか、あるいは関税導入を回避できる何らかの合意に達すれば、4 月 2 日以前の状況に戻ることが可能だ」と述べた。同日はトランプ米大統領が貿易相手国に対して広範な関税導入を発表した日。「安定的な完全雇用が実現し、インフレが目標に向かって進んでいる場合、金利は最終的に安定した水準まで低下するだろう」と続けた。
数週間にわたる後退、延期、そして一部関税の引き上げを経て、米国際貿易裁判所は28日、トランプ大統領の関税措置を巡り、その多くの部分について違法だと判断して差し止めを命じた。トランプ政権は判断を不服として控訴の意向を通知。最終的には連邦最高裁判所の判断に委ねられることも考えられる。
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グールズビー氏はミシガン州マキノー島で開催されたパネル討論会で「空中のちりを除去できれば、その下には二大責務を達成した強い経済が依然として存在するとなお考えている」と発言した。
米金融当局は、トランプ大統領の関税措置やその他の政策に関する不確実性が解消されるまで様子見に回り、金利を据え置く姿勢を取っている。当局者は米経済が現時点では堅調な基盤を維持しており、引き続き忍耐強く対応する余地があると指摘。関税措置が最終的にどの程度拡大されるか、または経済にどう影響するかは不明確だと述べている。
グールズビー氏は米国では物価が上昇し、労働市場が鈍化しているが、1970年代にみられた高失業率と高インフレを伴うスタグフレーションとは異なると明言した。
その上で、「スタグフレーション的な方向」にあると述べ、「インフレが上昇する一方で雇用が悪化している状況」を意味すると述べた。
原題:Fed’s Goolsbee Sees Lower Interest Rates If Tariffs Fade Away(抜粋)