米国株に年内20%下落リスク、インフレ急上昇のシナリオで-RBC
- 米株は最近の上昇で脆弱な上にバリュエーションが割高と指摘
- 最悪シナリオではS&P500種が年末までに4800に下げると予想
原油相場の高騰を背景にインフレが急上昇すれば、S&P500種株価指数は現行水準から20%下落する可能性がある。RBCキャピタル・マーケッツが指摘した。
ロリ・カルバシナ氏率いる同行のストラテジストは米国株について、このところの上昇を踏まえて脆弱(ぜいじゃく)な状態である上に、バリュエーションが割高にみえるとリポートで指摘。中東での紛争範囲が拡大して長引くほど、米株への悪影響は大きくなるとの見方を示した。
最悪シナリオとして、攻撃によってエネルギー価格が押し上げられた場合、S&P500種は4月に付けた安値水準に下落すると予想。そこまで深刻なケースにならない場合でも13%程度下げる可能性があるという。
カルバシナ氏らは「この紛争は消費の健全性やより広範囲の経済、米金融政策運営に関する不安を高める恐れがある。株価にとって問題となり得るシナリオの変化を引き起こす可能性がある」と記した。
イスラエルとイランの軍事衝突では、これまでのところ主要エネルギー施設への攻撃は避けられているとの見方が市場にあり、原油相場は16日に反落。しかし紛争は4日目に入っており、事態がエスカレートして紛争地域が拡大するとの懸念は消えていない。
RBCはS&P500種について、インフレ率が4%に達し、企業の前年比での利益成長がゼロ、米国の利下げが2回にとどまり、米10年債利回りが現行水準近辺で推移するという条件の下で、年内に4800まで下落する可能性があると指摘した。現行水準から約20%の下げとなる。
そこまで深刻でないシナリオでは、企業利益が7%拡大すると想定し、年末にかけて5200前後に下げると予想した。RBCは今月上旬には、年末時点の予想を5730としていた。
原題:US Stocks Risk 20% Drop in High Inflation Scenario, RBC Says(抜粋)