サムスン、第3四半期営業利益は前期下回る 高性能半導体に注力へ
サムスンはアナリスト会見で、人工知能(AI)用チップセットに使用される第5世代広帯域メモリー(HBM)のHBM3Eについて「以前から予告していた通り、HBM3Eの販売開始は遅れているが、主要顧客との製品認証試験では大きな進展があった」と説明。「これにより、第4・四半期には(HBM3Eの)売り上げが改善すると予想しており、複数の顧客に販売を拡大する計画だ」と述べた。
このコメントを受け、サムスン株は一時3%を超えて上昇した。
NHインベストメント・アンド・セキュリティーズのシニアアナリスト、リュウ・ヨンホ氏は「サムスンのコメントは、同社がようやくHBM3Eチップをエヌビディアに供給し、HBM事業の大きなハードルを乗り越えるとみられることを示唆する」と述べた。
同社は「第4・四半期はモバイルやPC(パソコン)向けのメモリーチップ需要が軟調になる可能性があるが、AIの成長により需要は堅調な水準を維持するだろう」とし、「こうした背景からHBMと高密度製品の販売拡大に注力する」と述べた。
第3・四半期の営業利益は9兆2000億ウォン(66億6000万ドル)と前年同期の2兆4000億ウォンから増加したものの、前四半期の10兆4000億ウォンを下回った。同社が今月上旬に示した見通し(9兆1000億ウォン)はやや上回った。ただ、この見通しはアナリスト予想を下回っていた。
元大証券のアナリスト、ベク・ギルヒョン氏は「サムスン電子は競合他社ほどHBMを効果的に商品化していないため、第3・四半期の業績と第4・四半期の見通しが市場予想に届いていない」と指摘。「業績が予想に沿うまでにはしばらく時間がかかるだろう」と述べた。
半導体部門は営業利益が3兆9000億ウォンと、前年同期の3兆8000億ウォンの赤字から黒字に転じた。ただ、前期の6兆4500億ウォンからは減少。従業員へのインセンティブ提供など一時的な費用や、ドル安による為替の影響が響いたと説明した。
同社は第4・四半期の半導体需要も同様のトレンドを見込むとした。
サムスンは主力の半導体メモリーとロジック半導体を扱うファウンドリー(受託生産)の両事業で劣勢に立たされている。ファウンドリーは第3・四半期に赤字が拡大したとアナリストは指摘する。
携帯端末部門は営業利益が2兆8000億ウォンと、前年同期の3兆3000億ウォンから減少した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab