トランプ氏、イラン産原油購入国・企業に二次的制裁-圧力強める
トランプ米大統領は1日、イラン産石油や石油製品を購入する国や企業に対し、直ちに二次的制裁を科すと表明した。イランとの核協議が停滞する中で圧力を強めた。
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「イラン産石油もしくは石油化学製品を購入する国や個人は、その量にかかわらず、直ちに二次的な制裁の対象になる。いかなる手段や形式であっても米国とビジネスを行うことは許されない」と投稿した。
この措置はイランの主要な歳入源である石油輸出を標的とし、同国の核兵器保有阻止を掲げるトランプ政権の「最大限の圧力」戦略をエスカレートさせるものだ。前日には、イラン産原油の取引に関与したとされる7団体が新たに制裁対象とされていた。
イラン産原油の二大輸入国は中国とインドであり、制裁が実施されれば、既に貿易戦争の渦中にある中国との関係がさらに悪化する可能性がある。また、中東における米国の重要なパートナーであるアラブ首長国連邦(UAE)もイランの石油製品を輸入しており、制裁の対象になる可能性がある。
トランプ氏の発表を受け、ニューヨーク原油先物相場は一時1.6%上昇し、1バレル=59.12ドルとなった。
イランと米国の核協議は再び不透明感を増している。今週末に予定されていた協議は延期されたが、米当局者はそもそも今回の協議に参加することを了承していなかったと述べている。
仲介役を務めるオマーンのバドル外相はX(旧ツイッター)への投稿で、3日に予定されていた協議が延期されたとした上で、「双方が合意すれば新たな日程の発表がある」と明らかにした。
米国務省のブルース報道官は協議について、「状況は流動的だが、近く再開されるとわれわれはみている」と話した。
イラン国営メディアは1日、同国外務省報道官を引用し、オマーンの要請により協議が延期されたと報じた。
トランプ氏はイランに核兵器の開発・取得を許さないと繰り返し表明してきた。米国が離脱した2015年の核合意に代わる新たな協定の締結を目指し、新たな制裁を科すなどイランへの圧力を強めてきた。
一方、イランは自国の核計画は平和目的だと主張し、ウラン濃縮の権利は交渉の対象にならないとの立場を堅持している。
今回のイラン産原油・石油製品購入国・企業への二次的制裁は、トランプ政権1期目の対イラン制裁を想起させる内容だ。トランプ氏は、オバマ政権下で成立した核合意から米国を離脱させた後、同合意によって停止されていた制裁を再発動。さらにイラン産原油を他の国が購入することにも新たな制限を課した経緯がある。
原題:Trump Moves to Cut Iran’s Oil Sales as Nuclear Talks Stall (1)(抜粋)