さいたま女子高生刺殺、容疑者は1時間半前から現場付近を徘徊か…血の付いた本入ったリュック発見
さいたま市桜区のマンションで住人の高校1年の女子生徒(15)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷内寛幸容疑者(24)とみられる人物が事件の約1時間半前から現場付近を歩き回っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。これまでの捜査で女子生徒と谷内容疑者との接点は見つかっておらず、埼玉県警は2人に面識はなかったとみている。
送検される谷内容疑者(16日、さいたま市中央区で)谷内容疑者は14日午後8時15分頃、同市桜区栄和のマンションの入り口で、女子生徒を刃物で切りつけるなどして殺害したとして逮捕された。女子生徒の上半身には刃物によるとみられる傷が複数あり、司法解剖の結果、傷は臓器に達していた。
現場周辺を調べる捜査員ら(15日午前、さいたま市桜区で)女子生徒は知人と市内の飲食店へ行き、帰宅したところを襲われたとみられる。谷内容疑者は午後8時30分頃、現場から約1・2キロ離れた交番の前で通行人に110番を依頼し、駆けつけた警察官に確保された。調べに対し、黙秘を続けているが、雑談には応じているという。
捜査関係者によると、現場の半径約1キロ圏内にある防犯カメラを調べたところ、谷内容疑者とみられる人物が1人で 徘徊(はいかい) する様子が確認されたという。
谷内容疑者は昨年10月頃から、現場から約500メートル離れた場所にある建設会社で働いており、県警は現場付近の土地鑑があったとみている。
県警は、15日に谷内容疑者が暮らしていた勤務先近くの寮などを捜索し、スマートフォンなどを押収。その前日には、現場で血の付いた包丁を押収したほか、現場と交番との間でリュックサックが見つかった。中には血の付いた本などが入っており、関連を調べている。
一方、県警によると、女子生徒のスマホの解析や家族から聞き取りを行ったところ、女子生徒や家族と、谷内容疑者との関係性を示す情報は確認されていないという。
県警は16日、谷内容疑者をさいたま地検に送検した。
谷内容疑者が勤務していた建設会社の男性社長(75)によると、谷内容疑者の勤務態度はまじめで、意欲的に仕事に取り組んでいたという。悩みを口にすることはなく、仕事の後は散歩や読書をしていた。
事件が起きた14日は午前5時頃に出社し、都内の現場で働いた後、昼過ぎに会社に戻った。夕方に社長が「酒を飲まないか」と声をかけたところ、「今日はいいです」として断ったという。
普段は身の回りの整理整頓が行き届いていたが、事件後に寮の部屋を確認すると散らかっていて驚いたといい、社長は「こんな事件を起こすようには見えなかった。被害者の方に申し訳ない」と沈痛な表情を浮かべた。
「明るく、気遣いできる子」…同級生は動揺
女子生徒はこの春、高校に進学したばかりだった。中学校ではバスケットボール部に所属し、チームメートと県大会出場を目標に練習に励んでいたという。
事件現場では手を合わせる人の姿も見られた(16日、さいたま市桜区で)「明るく、気遣いのできる子だった」と友人らは口をそろえる。中学で同級生だった女子高校生(15)によると、女子生徒は練習中に仲間がシュートを外すと、「大丈夫!」とすかさずフォロー。教室では1人でいる子にそっと話しかけるようなところもあったという。
男子高校生(15)は小学生の頃、女子生徒と一緒にサッカーやバスケをして遊んだ。「誰にでも分け隔てなく接する優しい子だった。次に会えたら高校生活のことを話したかった」と悔やんだ。
現場のマンション入り口には16日、知人らが続々と訪れ、花を手向けていた。小中で一緒だった女子高校生(15)は「明るくて元気で、クラスではリーダー役を任されていた。同級生はみんな動揺している」と涙ぐんだ。