成年後見は「権利の否定」だったのか 法改正で迫られる意識改革

成年後見の開始が決まると、家裁から後見人に通知書が届く=2024年11月21日午後2時13分、銭場裕司撮影

 認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人らを支援する成年後見制度を見直す改正民法が17日、参院本会議で可決、成立した。

 改正の背景には、制度の「使いづらさ」が関係している。後見人となることが多い弁護士や司法書士は、依頼者に寄り添った支援ができていたのか。

 反省点は多く、新制度では解任が増えることも予想される。

本人に代わって判断するとは

 大阪弁護士会の青木佳史弁護士には、成年後見を巡り忘れられない利用者がいる。

 家族に先立たれた独居の高齢男性を担当した時のことだ。

 転倒による骨折をきっかけに福祉施設への入所の手続きを進めた。

 しかし、現役時代は豆腐店を営み、カップ酒を飲むのが好きだった男性は、入所後は食が細くなっていった。「自宅で気ままに生活する方が本人に合っていたのかもしれない」。男性は入所からほどなく亡くなったという。

 支援の経験が豊富で、制度見直しに向けた法務省の法制審議会の部会委員も務めた青木弁護士。制度が始まった00年代前半は「本人に代わって判断することが、本人の権利を守ることにつながるという考え方が福祉の世界では当たり前だった」と振り返る。

 日本は14年に障害者権利条約を批准し、本人の意思を中心とした支援が求められるようになった。

 しかし、成年後見制度はあらゆる法律行為の包括的な代理権や取り消し権を後見人に認めている。

 意思の尊重が必ずしも守られているとは言えず、22年には国連の障害者権利委員会から「障害者が法律の前に等しく認められる権利を否定する」と厳しい勧告を受けた。

 条約批准から12年。今回法改正に至ったことで、青木弁護士は「利用者のニーズや意向を丁寧に検討することが今まで以上に必要になる」と語る。

不正根絶ほど遠く

 最高裁の2025年の統計によると…

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