【値下げまだ?】大阪・関西万博「専用駐車場」5500円が高すぎて…子連れ記者が「リング」の意外な効果に注目したワケ

1時間ごとに入場枠が設定された会場ゲート。待ち時間は20~30分だった=米倉昭仁撮影 この記事の写真をすべて見る

 記者は万博が大好きだ。世界各地の文化に触れる貴重な機会を逃す手はないと思っている。GWの2日間通って実感した、「待ち時間」や「駐車場」のリアルを正直にお伝えしたい。

【熱中症対策に】リング下、ココが涼しかったんです!

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こんなスピードで入場できるなんて

「混雑がひどい」「待ち時間が長すぎる」と言われる大阪・関西万博。

 だが、前回の「愛知万博(2005年日本国際博覧会)」と比べると、これらの問題は大きく改善されていたように思う。

 20年前、記者はGWと夏休みに家族で、のべ1週間ほど愛知万博を訪れた。予約入場システムは導入されていなかったため、日の出前から大勢の人がゲート前に並んだ。入場のピーク時にはゲート前は大混雑。会場になかなか入れないどころか、交通機関のリニモ・愛知環状鉄道に乗り切れない人々が主要駅から溢れた。

 大阪・関西万博は、当たり前かもしれないが、それとは隔世の感がある。大阪メトロは混雑時には2分半間隔で万博会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅まで地下鉄を運行しており、会場へのアクセスはいたってスムーズ。チケットに来場日時の枠が設定されているうえ、係員の手際がよく、20~30分待ちで入場できた。周囲から、「これほど多くの人がこんなに速いスピードで入場できるのはすごい」と、感嘆の声が漏れたほどだ。

 帰りもスムーズだった。夜9時すぎ、「ドローンショー」の終了とともに来場者が一斉に駅に向かうが、人の流れが止まることはなく、輸送力の高さに感心した。

愛知万博から大進歩「待ち時間」問題

 待ち時間も大きく違う。愛知万博では、人気パビリオンは3時間待ちが当たり前だった。最長6時間以上も待ち行列が延びた。

 大阪・関西万博では、長い待ち行列ができた米国パビリオンでも約2時間で入場できた。中小のパビリオンやブースなら30分以下で入場できるところも少なくない。

 ただ、「並ばない万博」を目指して設定した来場日時の予約枠が事実上の入場制限となってしまい、来場者数が1日平均の想定である15万人に達した日はまだない。

 万博協会は順次、予約枠を拡大しているが、来場する側としては、これ以上の混雑はうれしくないだろう。

大屋根リングの下は広い通路になっている。意外なほど涼しく、快適に移動できる=米倉昭仁撮影

大屋根リングの下は日影、給水スポットも十分

 熱中症対策も進んだ。愛知万博では313件の熱中症患者が発生した。ウォーターサーバーやミストが設置されたが、そもそも日陰が少なかった。

 大阪・関西万博では、会場の主動線である大屋根リング下の広い通路は日陰で、心地よい海風を感じながら移動できた。軒下に置かれたベンチの数は十分で、混雑時でも座れた。給水スポットが各所にあり、飲み水に困ることはなかった。

こちらは話題になったイギリスパビリオンのあのスコーン!英国パビリオンのレストランで購入したスコーン=米倉昭仁撮影

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大屋根リングの上からは大阪湾や市街地が望める=米倉昭仁撮影

 ただし、不満もある。

 まず予約システムが複雑すぎる。万博ID発行、入場日時決定、チケット購入をへてパビリオンの予約・抽選に進む。その道のりは長く、面倒で、うんざりした。スマホやPCの操作に不慣れな人は諦めてしまうかもしれない。また、予約した入場時間が遅ければ、パビリオンの「当日予約」が事実上できないというのも不公平だと思う。

 また、今回の万博は、マイカーを会場近くの3カ所の専用駐車場に止め、シャトルバスに乗り継いで会場に向かう「パーク・アンド・ライド」が設定されている。記者もマイカーで大阪に入ったため、一度は検討したのだが、専用駐車場の料金が高すぎるのだ。「舞洲駐車場」は基本料金が5500円もする。ほか2カ所の駐車場の基本料金も5000円だという。

府知事は値下げ提案するも…

 宿の最寄り駅である「天下茶屋」と万博会場の「夢洲」の間は、地下鉄だと家族4人でも往復3440円で済む。交通費はできるだけ節約して、会場での食事代に充てたかったから、「パーク・アンド・ライド」の利用は見送った。パーク・アンド・ライドの利用が低迷しているというが、大阪近辺に暮らす来場者も同じことを考えると思う。

 5月7日、吉村洋文・大阪府知事は利用促進のため、駐車料金の値下げを提案したが、万博協会は「今の段階で『検討します』という状況ではない」としている。

公式マップの使い勝手に課題

 公式マップは、デジタル版も有料の紙版も使い勝手が悪すぎる。地図に描かれたパビリオンに名称が書かれておらず、そこに振られたアルファベットと数字で地図の枠外に記されたパビリオン名と対応しなければならない(紙版の場合)。

 会場内にパビリオンの混雑状況を示す表示がなく、実際に行って見ないと、どれくらい並ぶのかわからない。

 今回2日間、朝から晩まで会場に滞在したが、見学できたのは約160カ国・地域の施設のうち1割強だった。スタッフはみな親切で、丁寧に質問に答えてくれた。なじみのない国を知るきっかけとなる万博。特に子どもたちには、さまざまな国の人の生の声を聞ける貴重な機会を生かしてほしいと思う。

(AERA編集部・米倉昭仁)

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