交際相手の4歳男児を暴行死、傷害致死罪に問われた男に無罪判決…横浜地裁

横浜地方裁判所

 横浜市鶴見区で2018年1月、交際していた女性の長男(当時4歳)に暴行して死亡させたなどとして、傷害致死罪などに問われた同市緑区、無職の男(32)の裁判員裁判の判決で、横浜地裁(吉井隆平裁判長)は21日、「被告の暴力によって傷害が生じたとは認められない」などとして無罪(求刑・懲役12年)を言い渡した。

 男は同年1月23日、アパートで男児の頭や首に強い力を加えて暴行し、2日後に 頸髄(けいずい) 損傷や急性硬膜下血腫などが起きて死亡させたとして、22年8月に逮捕、同年9月に起訴された。一方、男は一貫して無罪を主張していた。

 検察側は公判で、女性は外出中で、犯行が可能だったのは男だけだと指摘。弁護側は、たんが気管に詰まったり、ソファから転落したりした可能性があるなどと主張していた。

 判決は、複数の医師らの証言を検証し、頸髄の周囲に傷がないことなどから、「首の神経の損傷は生じていなかった疑いがある。急性硬膜下血腫も外力によらずに起きた疑いが残る」などとした。そのうえで、「気道 閉塞(へいそく) など何らかの要因によって心肺停止状態に陥った。(被告による)犯罪の証明がない」と結論付けた。

 判決後、男の弁護人は「適切な判決」と語り、横浜地検の塩沢健一次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とのコメントを出した。

 横浜地裁では今月16日、神奈川県平塚市の私立認可保育園で17年に、当時1歳の女児に暴行を加えて死なせたとして傷害致死罪に問われた元保育士の女性に無罪が言い渡されていた。

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